旅先での出逢い

イナリに滞在していた間は毎日、サーミ議会・文化センターSajosの中にあるレストランRavintola Čaijuに毎日通っている。この日は少し混んでいたので、同じく一人で食事をしていた女性と相席させてもらった。日替わりメニューのトナカイシチューを食べていたら、同じテーブルの女性から「一人旅ですか」と尋ねられ、それをきっかけに話題が広がって、1時間ほど話をした。彼女はポーランド出身で、留学時代に出逢ったフィンランド人男性と結婚し、現在はヘルシンキに住んでいるとのことだった。 その後、Juutua川で釣りをしていた彼女の夫さんと息子さんたちにもお会いして挨拶をし、年長の息子さんから「一緒にサーミ博物館SIIDAに行こう」と誘われたので、昨日に続いて再訪することにした。途中、彼女たちが知るローカルなカフェのオーナーと立ち話をしたり、博物館ではトナカイ縄のゲームに挑んだりと、思いがけない展開を楽しんだ。 0:00 /0:04 1× 博物館を出て川の方へ戻ると、彼女の夫さんと息子さんは魚を見事に釣り上げて…

銀色がかった世界

サーミ博物館SIIDAの屋外展示があるエリアの木々と光。濃密な展示を見る合間にも、この光と色に魅せられていた。ここでは、あらゆるものが銀色がかった光に包まれて見える。 0:00 /0:15 1× 空にはハロが現れていた。…

サーミ博物館SIIDAへ

サーミランドへの旅を考え始めたきっかけでもある、イナリにあるサーミ博物館 SIIDA - Saamelaismuseo ja Luontokeskus を訪れた。 この博物館では、北部サーミランドの自然と密接に結びつくサーミの文化や伝統、歴史を、多彩な角度から紹介し解説している。ゲートを通って展示室のある2階へ上がると、まずは北部サーミランドの土地の成り立ちと、サーミの文化、伝統、歴史等を紹介する展示室が広がっている。大きなスクリーンで語られる内容に釘付けになってしまって、残念ながら展示物の写真を撮り忘れてしまった。 その隣には、北部サーミランドの自然について紹介する大きな展示室がある。ここは、最終氷河期以降の気候の変化と歴史に焦点を当て、未来の気候変動を推測する内容となっている。サーミランド北部の自然保護地域と、その多様な環境、そこに生息する生物の種類と生態がかなり詳細に展示・解説されている。 どの展示室も中身が非常に充実している上に、音声や映像で体験できるものも多く、屋内展示だけでもじっくり見て回ると数時間はかかった。さらには広大な野外展示もあって、すべてをきちんと見学するに…

夜の太陽に照らされてひとり歩く

白夜の空の様子があまりに魅力的だったので、23時過ぎから再びJuutua川(Juutuanjoki/Juvduujuuhâ)の上流へ向かうことにした。夜の太陽に照らされて、静寂の中をたった一人で歩く。途中、灰色がかった白い毛の野うさぎの姿を目にした以外、誰にも出会うことはなかった。 Jäniskoski、0時。地平近くまで傾いた深夜の太陽に照らされて、木々がほのかに赤く染まっている。 0:00 /0:33 1× 岩の上でしばしただただ空の変化を眺めていた。 Inarijärvi/Aanaarjävri、午前1時。 0:00 /0:15 1× 夜の太陽に照らされたこの地の自然は、ひたすら静謐で、神秘的で、まるでこの世ではないような感覚に陥る。…

Juutuan Polku

Juutua川沿いのハイキングルート(Juutuan Polku)は約6.4km。聞こえてくるのは、Juutua川が流れる音と鳥たちの声だけ。古代からずっと変わらぬ眺めと気配が残っているような、神秘的で、不思議な場所だ。歩いているだけで心身が癒えていき、エネルギーが補給されて、いくらでも歩けそうな気がする。 この光。ずっとここにいたくなる。…

Jäniskoski

今日は晴れ。気温は低いが、気持ちのいい天気だ。昨夜途中まで歩いたJuutua川(Juutuanjoki/Juvduujuuhâ)の周辺をめぐるハイキングルートをさらに進んで、Jäniskoski/Njuámmilcooskâsと名付けられた急流へ。今年は一気に雪解けが進んだそうで、川の水量が凄まじい。急流の上に架けられた橋を渡るのも怖気付くほどの流れの激しさだ。 フィンランドの作曲家ヘイノ・カスキ(Heino Kaski: 1885 - 1957)の作品の中に、館野泉氏によって『激流』と訳されたピアノ曲がある。原題は『Pankakoski』で、彼の出身地であるカレリア地方リエクサ(Lieksa)にある急流を描いた楽曲だと思われるが、Jäniskoskiを眺めているうちに、10代の頃繰り返し演奏したこの楽曲が頭の中で流れ始めた。 0:00 /0:22 1× 0:00 /0:33 1×…

Inariにて白夜を初めて体験する

ここでは夏の間は太陽が沈むことがない。何時になっても空が明るいので、夜が来た実感がなく、不思議な気分になる。23時を過ぎていたけれど、ホテルのすぐそばを流れているJuutua川(Juutuanjoki/Juvduujuuhâ)周辺をめぐるハイキングコースを歩いてみることにした。気温は5℃。歩いていると手が冷える。…

Inari

朝早いフライトだったので、イナリに到着したのは11時前だった。予想よりもさらに気温は低く、思っていたとおりどこもかしこも広々としていて静かだ。早速ホテルにチェックインし、サーミ博物館SIIDA内のレストランSarritでのんびりランチを食べた後は、まずイナリ湖の周辺を散策。湖の上は雲が近い。そして、これまで見たことのないような幅の広い大きな虹が現れていた。…