Gallen-Kallelan Museo
ヘルシンキに到着後、プラハ行きのフライトを待つ間に、エスポーにあるAkseli Gallen-Kallela美術館を訪れた。以前から一度は訪ねたいと思っていたので、月曜日でも開館していることを知ってすぐに出向いた。Akseli Gallen-Kallelaが実際に暮らし、数々の作品を生んだ場所を訪ね、その気配を感じることができてとてもよかった。…
ヘルシンキに到着後、プラハ行きのフライトを待つ間に、エスポーにあるAkseli Gallen-Kallela美術館を訪れた。以前から一度は訪ねたいと思っていたので、月曜日でも開館していることを知ってすぐに出向いた。Akseli Gallen-Kallelaが実際に暮らし、数々の作品を生んだ場所を訪ね、その気配を感じることができてとてもよかった。…
今回のサーミランドへの旅にも、自分が描いた絵のポストカードを持参して、出会った人々に気に入ったものを選んでもらって手渡した。「一般的なお土産よりもずっとパーソナルなギフトだ」と言ってもらえて、嬉しかった。長々と自分について語るよりも、ずっといい自己紹介になる。 同じ風景画も、見る人によって想起されるものは異なるので、一人一人に選んでもらうのも楽しい。たとえばウツヨキでガイドをしてくれたTravel UtsjokiのPetraさんは、ボヘミアの夕焼け空を描いた絵を、「まるで極夜が明ける頃の空のようだ」と言って選んでくれた。…
サーミランドに滞在していた9日間は雨に降られることはなく、むしろ、私がハイキングやサイクリングに出かけると、雲が晴れて青空が見えてくることが多かった。いよいよサーミランドを発つ日、空港へ向かうタクシーに乗り込んだ後、やっと雨が降りはじめた。まるで、サーミランドが、この地を離れなければならない私の気持ちに共振してくれたかのようだった。 バイバイ、サーミランド。 たくさんの素晴らしい出逢いと体験をありがとう。 またすぐに来るね。…
ウツヨキからバスに揺られて3時間弱ほど(途中イナリで予約なしに乗車する人たちがいて予定より停車時間が長引いた)で、イヴァロの町に到着した。夏至(休日)の翌日とあって、週末を北で過ごした人たちが街へ戻っていくのか、バスには思いのほか多くの乗客がいた。中にはウツヨキでキャンプをしていたというカップルもいた。 イヴァロは人口約3,000人ほどの小さな町ではあるが、大きなスーパーマーケットが2軒あり、医療センターもあるそうで、暮らしやすそうなところだと思った。もちろん、町のなかを歩いているトナカイも見かけたし、サーミランドの日常ともいえるトナカイによる交通渋滞も起きていた。 0:00 /0:10 1× この一週間でいったい何km歩いたのだろう。ほぼ毎日どこかの山を歩いていた。日によっては複数の山を登りもした。さすがに肉体疲労を感じていて、足には靴擦れと痣ができている。しかし、日が沈まないので夜も昼間のように明るいここでは時間の感覚が狂いがちで、ついつい夜遅くまでで歩いてしまい、睡眠不足に陥ってしまう。…
ウツヨキを発つ日の朝、ホテルの目の前で2頭の雄トナカイに遭遇した。彼らはおそらく観光用に村の図書館で飼育されているという“村トナカイ”だろう。人に慣れているとはいえ、トナカイは突然の動きを怖がると聞いていたので、ゆっくり近づいてちょっと話しかけてみたりした。 0:00 /0:20 1× 私が「バイバーイ」などと声をかけ続けていたからか、彼らは姿が見えなくなるまでずっと見送ってくれた。バイバイ、どうか元気でね。必ずまた来るよ。…
ウツヨキでは、ウツヨキとイナリなど南の方の町を結ぶ道路が開通した翌年の1959年に建てられたというHotel Utsjokiに滞在した。開業当時からあまり変わっていないのではと思うほど懐かしい雰囲気のホテルで、予約時点では少しだけ不安も抱いていたけれど、スタッフはみな明るく親切で、客室はシンプルながらも必要なものは揃っていたし、小さなラウンジにはコーヒーメーカーやポットや電子レンジもあって、思っていた以上に快適に過ごすことができた。 ホテルの廊下には、サーミの太鼓(シャーマン・ドラム)に刻まれるさまざまなシンボルが描かれた絵が飾られていた。また、部屋の各ドアにもそれぞれ異なるシンボルが描かれた小さな絵が掲げられていた。私が滞在した部屋のシンボルは舟だった。 このホテルは、村の数少ないレストランも兼ねていて、ウツヨキ川を眺めながら食べた食事はどれも美味しかった。また、夏至の前夜には、地下にあるバーでイベントが開催され、地元の人たちがたくさん集まっていた。夏至の日(祝日)と、その翌日の日曜日は、ホテルも休業日でスタッフはいなかったけれど、朝食はちゃんと事前に用意されていたし、何かあれば…
イナリでは、夜のJuutua川沿いを一人で歩いていた時に、ふと風と木が語り掛けているように感じて、私も語りかけた。そうして、しばし静かなやり取りを繰り返した。 ウツヨキでも、風や木々や大地が語りかけてくるような感覚を何度も味わった。ある夜、岩場の多い急斜面を登っていると、突然空の様子が変化し、風が変わり、木々が何かを訴えているように感じた。私は、今はこれ以上登るなと言われているような気がして立ち止まり、山を下った。 圧倒的な自然と静寂の中にひとりでいると、こうした感覚が研ぎ澄まされていく/戻ってくるのだろう。この感覚はどの山を歩いていても常にあって、自然との一体感のようなものを味わうと同時に、自分自身に還る感覚を体験し続けていた。それは、とても静かで自然なものだった。…
夏至の日の夜20時半を過ぎてから、一人でウツヨキのAiligas/Áilegasに登った。 登りはじめてすぐ、一頭のトナカイに遭遇した。程よい距離があったので、トナカイは逃げることはなかった。怖がらせないようなるべくゆっくり動いて、しばらくじっと静かに観察した。この時期に角があるということはおそらく雄トナカイで、もしかしたらKaldoaivi原生地域で放牧されている個体だったのかもしれない。 0:00 /0:33 1× 標高342mのAiligasも、上の方にはツンドラ地帯が広がっていて、ところどころに雪も残っていた。 遠くノルウェー方面の山はまだ雪に覆われていて白い。夜の太陽は雲に隠れていたが、それでもなお壮観な眺めだった。 おそらく天敵に襲われたのだと思われるトナカイの亡骸も目にした。この辺りでは、ウルヴァリンがトナカイを狩るらしい。主に狩られるのは、人間側の都合や勝手(経費や労力の削減、観光目的による管理等)によって本能や運動能力の発達を妨げられた“弱い”個体なのだと教えてもらった。…