霊鳥ズー
以前、水晶玉の中にはっきりと見えた、雌ライオンの頭と猛禽類の羽根を有する存在が彫られたフリーズ(パネル)はこれだろう。ズー(Zū)あるいはアンズー(Anzū)という呼称のメソポタミアの霊鳥。 ズーはライオンの頭を持つ巨大な鳥で、その翼で嵐や雷を巻き起こす。『ルガルバンダ叙事詩』では、主人公に力を授ける霊鳥として登場するが、後の時代に作られた『ズーの神話』では、「天命の書板」を盗んだ怪鳥として戦闘の神(元は農耕と治癒の神)ニヌルタによって退治される。 主神に仕えながら主神権の象徴である「天命の書板」を盗み出したズーは、つまりはシャヘルであり、ルシフェルだ。また、エジプト神話の霊鳥ベヌにも繋がっているだろう。 イナンナが聖なる園(エデン)に持ち帰って育てた世界樹が天まで届くほど大きく育った頃、ズーがやってきて、この世界樹の上に巣を作り雛を育てはじめた。さらにこの世界樹の根には蛇が巣を作り、その幹にはリリスが住処を作った。 神話の中では、イナンナは双子の兄である太陽神ウトゥに助けを求め、ウトゥは世界樹の根に住んでいた蛇を退治する。ズーは子どもたちとともに天の頂まで昇り、そこに巣を作る…