不満足のままでいたい人もいる
わたしの母のパートナーには長年別居したままの妻がいる。過去には女性二人の間で激しい衝突もあったと聞いた。母が死んだ後、わたしは彼に率直に「なぜ、あなたの妻はそれでも尚あなたとの離婚を拒否するのか」と尋ねたことがある。彼はにやりと笑って「愛されてるからや」と言った。 わたしはぎょっとしたけれど、彼もやはり依存と執着を愛だと勘違いしている人なのだとわかった。彼だけでなく、彼の妻も、わたしの母も同じだった。だから互いにずっと依存しあい、執着しあってきたのだろう。 本人たちが依存と執着の中にいたいのだから仕方ない。母は自らの依存に気づきながらも、そこに留まったまま死んでいった。彼女がそれを選んだのだし、それでよかったのだろうと思っている。 わたしは自分が巻き込まれないよう彼らの物語から距離を置いてきたが、彼ら自身の選択を否定はしない。人はみな生きたいように生きる。人は人、自分は自分、それだけのことだ。…