大阪にて

今回の大阪滞在は実に楽しかった。好きな人たちとたくさん話せて、いい買い物ができて、美味しいものもあれこれ食べた。終始いい出逢いと再会に恵まれていた。大阪駅やなんば駅ではあまりの混雑ぶりに戸惑ったけれど、それでも居心地は悪くなかった。次に日本へ行く時にもまた大阪に滞在したいなと思っている。 後になって気づいたのだが、大阪では連日画家さんにお会いした。小川雅章さんの作品展を見に行った翌日には、似顔絵作家、沖中泰子ちゃんと二十数年ぶりに再会し、その翌日には絵描きの友人はとちゃんが移動の途中に会いに来てくれた。なかなかおもしろい偶然そして必然だった。…

小川雅章作品展「のら百景」@オソブランコ

今年の4月に日本行きの航空券を予約した。戸籍謄本の取得など、日本へ行く理由はいくつかあったが、そう急ぐものではなかった。しかしある日、XとInstagramでいつも作品を拝見している画家の小川雅章さんが、秋口に作品展を開催されると知って、その時期に大阪へ行こうと決めた。 とはいえ、作品展の詳細はわからなかった。今思えば、小川さんに直接お尋ねすればよかったのかもしれないが、面識がなかったので遠慮してしまった。そして、「秋口」という言葉から、会期はおそらく9月末~10月頭だろうと予測して、やや賭けに出る形で往復の日程を決めたのだった。果たして賭けは見事に的中した。小川さんの作品展「のら百景」は、私の日本滞在期間にぴったり重なっていた。そうして久米島から大阪へ移動した翌々日、友人とともに会場の オソブランコを訪れた。 小川さんは、30年ほど前の大阪の湾岸地域の風景を描き続けておられる。そして、どの絵の中にも犬の「テツ」くんが登場する。私は大阪生まれではないけれど、小川さんが描く大阪湾岸の風景にはなぜかしら懐かしさを覚える。川岸に建ち並ぶ工場、鉄材やロープが散らばる造船所、水面に丸太が浮か…

久米島の人々に絵を見てもらって

今回日本へ向かう前に、自分が描いた絵をポストカードにして持参しようと思い立った理由のひとつは、この一年の間に描いた久米島の絵を島の人々に見てもらいたいと思ったことだった。 前回初めて久米島を訪れた時に出会った方々から、「久米島に写真を撮りに来る人はたくさんいるけれど、久米島の絵を描く人にはまだ会ったことがない。ぜひ描いてください。」と言われたのを覚えている。だから、まずはその人たちにぜひ見てもらいたかった。 そして、実際に久米島滞在中には、思っていた以上に多くの方々に、私が描いた久米島の絵を見ていただくことができた。島に詳しい地元の人たちは、「ああ、これはシンリ浜だね」「これはアーラ浜だ」と、描かれた場所をすぐに認識してくださった。さらに複数の方から、「久米島の絵を描いてくれてありがとう」「自宅/オフィスに飾ります」という嬉しい言葉もいただいた。 今回の滞在で、私は久米島の雄大な自然と、その鮮やかで多様な色彩にますます魅了された。これからさらにその風景を描いて、再び島の人々に会いに行きたいと思っている。…

久米島、比屋定バンタ

バンタとは断崖を指す沖縄の言葉だそうだ。比屋定バンタは島の北東部、約2kmに渡って続く高さ200mの断崖絶壁の上にある。展望台からは、ハテの浜はもちろんのこと、さらに遠方の渡名喜島や、粟国島、慶良間諸島まで見渡すことができる。 久米島の海は、サンゴ礁特有のターコイズブルーやエメラルドグリーンだけでなく、深いところに現れる鮮やかな青色が実に美しく、濃密な緑とのコントラストが印象的だ。…

久米島、ミーフガー

久米島の北側にある大和泊海岸には、「ミーフガー」と呼ばれる奇岩が聳えたっている。一見すると巨大な岩に穴が空いているように見えるが、海側の琉球石灰岩と陸側の凝灰角礫岩が、約400万年前にぶつかって形成されたといわれている。 火山活動が作り出した特徴的な形をした岩と、青い海と空、そして濃淡さまざまな緑に囲まれた、不思議と居心地のいい静かな場所。…

久米島、シンリ浜

シンリ浜は久米島の西側、久米島空港の近くに位置する浜で、すぐ沖にある環礁によってラグーンが形成されている。私は昨年も今年も、この浜に面したホテルに滞在した。いわゆる繁華街(といっても久米島の繁華街は小さくてのんびりしているが)からは離れた静かなエリアで、ベランダからはいつでもこの浜を見ることができる点が気に入っている。日毎、時間毎に変化する海と空は、どれだけ眺めていても飽きることがない。…

久米島、夕暮れのアーラ浜

久米島の南西部にあるアーラ浜は、珊瑚や貝殻に覆われていて、足を踏み出すたびにカラカラと音が鳴り、波が寄せては返すたびにシャラシャラとした音が響く。 すぐそばにはアーラ岳がそびえ、ある人の話によると、ここは海の神と山の神が出会う/ぶつかる場所だという。周囲を山に囲まれているためか、人の気配の少ない静かな浜で、昨年初めて訪れた時にすっかり気に入ってしまった場所のひとつだ。 0:00 /0:33 1×…

久米島、畳石

久米島、畳石。約600万年前の火山活動によって形成された柱状節理の断面が、波浪によって侵食されて、現在のような地形が作り出されている。 ここは、数年前に見た夢の中で訪れた場所によく似ている。初めて畳石の写真を目にした時には、「え!」と思わず声をあげて驚いたほどだった。その夢の中では、浜辺に無数に並んだ六角形の石のひとつひとつの真ん中に、現地の神である半人半魚の化石のような形/紋章が浮かび上がっていた。 石畳の岩も、中心部が少し盛り上がっていて、やっぱり夢で見た光景によく似ている。…