紫色のマカロンに似た菓子、夢にはよく死者が現れる

身体の調子が優れない時には地上の現実を離れる度合いはより高まる。この数日間はまたとにかくよく眠ってひたすら夢を見ていた。目が覚めても書きとめる間もなくふたたび眠りに落ちることを繰り返したので、実にたくさんの夢を見たものの、その多くは内容を忘れてしまった。 ある夢の中で、わたしはVとともにまったく知らない場所に住んでいた。その場所はかなり高い位置にあるようで、窓の外には空が見えていて、地上からは随分離れていた気がする。そこにはまったく知らない女性もいた。夢の中では彼女はわたしたちの友人あるいは知人であるようだった。 Vが、白いホーローのコンロでミンチしたツナを焼いて小さなライスバーガーを作ってくれた。さらに、きれいな淡い紫色のマカロンに似たお菓子もあった。間にはホイップクリームのようなものが挟んであり、口に入れるとふわりと溶けて、とても美味しかった。Vは、わたしを驚かせるために内緒で買ってきたのだと言った。「おくだ」という店で買ったと聞いて、わたしはその店がどこにあるかを知っていると思っていた。 別の夢では、旅先で競技場のように広いレストランを訪ねていた。わたしはそこで、別の場所か…

海の絵を描く夢

夢の中で絵を描いていた。以前オーラソーマを教わった女性の元に、幼友達を含む女性二人が集まって何かをしていた。わたしはVとさくらとともにその場所を訪ね、そこで絵を描くことになった。 「さて、何を描こう」と思いながら紙を前にしたら、手が勝手に海の絵を描き始めた。青系の色のみで描いていた気がする。すーっと水平線を描き、さっさっと手を横に動かして漣を描写していた。水平線の向こうにはモン・サン=ミシェルに似た建物のシルエットが小さく描かれた。自分ではないものによって手を動かされているかのようで、わたしは絵が出来上がっていくのをまるで傍観者のように眺めていた。…

武満徹が見た夢 ー 星形の庭へ降りてくる無数の鳥たち

武満徹もまた太陽系外と繋がっていた人なのだと思う。あるいは、恒星化した(目指した)人だ。 彼が夢から音の着想を得ていたことはよく知られている。たとえば彼は、パリのポンピドゥー・センターで星形に剃られたマルセル・デュシャンの頭を撮影したマン・レイの写真を見た夜に、無数の白い鳥が黒い鳥に導かれて星形の庭へ降りていく夢を見たそうだ。その風景を音楽的だと感じた彼は、それを音楽にしたいと思い、『鳥は星形の庭に降りる』を作曲したのだという。 夢の中の無数の鳥たちは、星形の庭=五角形=地球上における創造性あるいは遊びへと降りてきた恒星意識だろう。 夢は、物質的個体として地上に存在するわたしたちにとって、肉体という制約を離れて時空を超えてどこまでも広がり、極めて象徴的かつ概念的な体験を得ることができる唯一の(肉体的な死を除く)方法だ。恒星意識は夢を通ってやってくる。…

母が買ってきた食べ物を食べる夢

夢の中で、建て替えられる前の古い実家にいた。滞在2日目の朝らしく、4日目にはわたしはそこを出発して自分の場所へ帰る予定だった。わたしは着ていたパジャマの洗濯をするかどうか迷っていた。すると、玄関から賑やかな声と音が聞こえてきた。買い物に出ていた母が帰ってきたようだった。 母は実際によくしていたように、美味しいと聞いた店を訪ねてさまざまな食べ物を買ってきた。食パンやサンドイッチ、産直市場で購入された野菜などが見えた。夢の中でわたしは、彼女が既に死んでいることはわかっていたが、何も言わなかった。そして、わたしは早速その美味しそうなパンを食べることにした。 そこには母のパートナーもいて、わたしたちは台所へ移動し、母が買ってきた食べ物を皿へ移した。彼もまた、母が既に死んでいることをわかっているようだったが何も言わなかった。母は流し台の前で買ってきた食材の世話をしているようだった。ストーブが2つも稼働していて部屋はとても暖かかった。 母のパートナーがわたしに、あまりに暖かいからストーブをひとつ消そうかと言った。わたしは彼に、母が死んでからもうすぐ一年半、あっという間だったねと話した。すると…

ガンジーの頭蓋骨、ブルーグレーの美しい鉱石

夢の中で、自分のところにある鉱物を訪ねてきた人々に紹介していた。まったく知らないショールームのような広い空間だったが、わたしはそこをよく知っているようだった。人々の中にはVの友人Lと彼の妻がいて、彼は小さな骸骨に興味を示した。わたしは「それは『ガンジーの頭』だ」と紹介した。 少し灰色を帯びた青い半透明の鉱石がアップになった場面も覚えている。形は大きな水晶クラスターのようだったが、これまでに見たことのない石だった。 ここしばらくはスピカあるいはアトランティスへ行くと決めて眠りに入っているが、はっきりとした夢の記憶を持ち帰ることができずにいる。断片的な場面を覚えていることもあるが、抽象的過ぎて言語化できない。また、どこか懐かしい人々に会っていたような感触も残っている。…

干からびて小さくなった母の笑顔と格納庫のような病院の夢

今朝見た夢の断片を思い出した。わたしは母と一緒にタクシーにのって”病院”へ向かっていた。母は生前の姿とはまったく異なり、ミイラのように小さく干からびていたけれど、顔には満面の笑みを浮かべていて、調子も機嫌も良さそうだった。タクシーの運転手はまったく知らない男性だった。 この場面の前だったか後だったかははっきりしないが、わたしは病院にいた。とはいえ、そこは病院というよりも、航空機あるいは宇宙船の格納庫のような場所で、何人もの人たちが動き回っていた。母と彼女のパートナーもそこにいたような気がするが覚えていない。…

海の夢、そしてアルゴー船

日食が起きている頃に海の夢を見た。わたしは渚を歩きながら、ゆったりのたうつ海を眺めていた。深い藍色の海原は手前になるにつれ緑を帯び、絶え間なく寄せくる波が作る白い飛沫が美しい文様を描いていた。やがて、巨大な古い木造帆船の一部が視界に入った。わたしは「これがわたしが撮った写真に写っていた船か」と思っていた。 船の全体は見えなかったが、視界に入った部分だけでも相当な大きさだった。いくつもの太い木材がしっかりと組み合わさっており、その重厚感にはわずかに恐怖すら感じた。船体からは、これまでにいくつもの厳しい航海を経てきたであろう風格が漂っていた。 場面は変わり、わたしは木の杭の上を渡り歩きながら、引き潮の海を眺めていた。みるみるうちに水が引いていき、渚は広さを増していった。動いていく水を足に感じながら、浅瀬を歩いた。辺りには誰もおらず、とても静かだった。景色は全体的に翳りを帯びていたが、海の色は鮮やかで美しかった。 目が覚めた後、アルゴー船の名が頭に浮かんだ。イアーソーンがコルキスの黄金の羊の毛皮を求めて旅に出るために建造された巨大な船。ヘラクレスや、双子のカストールとポリュデウケー…

犬を拾う夢、シーサーのような二頭の狛犬

夢の中で、茶色い猫を抱いたまま、片手でハンドルを握って自転車でトンネルの中を走っていた。途中、コーギーのミックスのような犬が捨てられているのを見つけて自転車をとめた。人懐っこい大きな目をしたかわいい犬だった。知らない女性が現れて犬を助けようとしたので、わたしも協力することにした。女性は、その犬を安全な場所へと運ぶため透明なビニール袋に入れた。 そうして、わたしたちは一緒に移動した。公共休憩所のような場所へ辿り着き、わたしたちは犬を袋から出した。薄暗くて温かい、絨毯敷の空間だった。そこには二頭の番犬あるいは狛犬のような生き物がいて、こちらの様子を伺っていた。二頭とも大型犬ほどの大きさで、身体の毛がところどころ抜けていたか無い状態で肌が露出しており、顔はシーサーのようだった。わたしたちのことを少し警戒しているようではあったが、攻撃してくる様子はなかった。 女性が袋から出した犬の身体をチェックした後、何かの粉末をに取りだして計量した。水に混ぜて犬に飲ませるようだった。わたしたちは、保護した犬が番犬(狛犬)に攻撃されないよう慎重に動いた。二頭の番犬のうちの一頭が立ち上がってこちらの様子を見…