偶然か必然か

7月に空港のチェックインカウンターで偶々前後に並んだことをきっかけに出逢った女性が、予定通り9月に近くの町へ引っ越してこられ、今月2度もわたしが暮らす町まで会いにきてくださった。彼女とは、話すたびに思いがけない共通の話題が見つかる。先日は、彼女の義父さんがテレビにも出演している(外国人であるわたしでも顔を知っていた!)有名な占い師だと知ってまたまた驚いた。 最近は、15年以上前にオーラソーマ・カラーセラピーを教わった方から連絡があり、次回の一時帰国時に久しぶりにお会いする約束をしたり、そのオーラソーマを通じて出会った友人とも再会の約束をしたりと、しばらく離れていたことがまた近づいてきているように感じていた。タロットカードもすっかりしまったままになっているが、そのうちまた以前とは別の意識や目的のために手に取る日が来るのかもしれない。…

鳩の幼鳥を救えなかった自らのやるせなさ

移民局がある駅を降りてすぐ、小さなふわふわとした灰色の塊がバスターミナルの歩道をよたよたと動いてはうずくまる様子が目に入った。それは鳩の幼鳥だった。まだ飛べないようだったので、もしかすると巣から落ちてしまったのかもしれない。よく見ると足の爪が既に傷んでいて、痛々しい姿だった。 どうしたものかと悩んだが、親鳥が助けにくるかもしれないと期待して一旦その場を離れた。しかし、移民局での用事を終えて駅に戻ると、幼鳥は同じ場所に佇んでいた。石畳の上を歩くのも困難なようで、よろよろと動いては躓き、うずくまる。人通りを怖れてか車道へと近づいていく幼鳥を、放ってはおけなかった。 わたしはVに頼んで、その地域を管轄する野生動物保護センターに電話をかけてもらった。電話では「その幼鳥を連れて帰ることはできるか」と尋ねられたようだが、Vが無理だと答えたところ、幼鳥を歩道の上ではなくどこか隠れたところに移動させるようにと指示された。彼らはなるべく早くその場へ向かうとのことだった。 Vが幼鳥を両手で掬い上げ、曲がり角に建つ少し死角になったビルの階段の屋根の上に載せた。わたしはペットボトルの蓋で水を与えてみたが…

夢の旅先

夢の中でいつも知らない旅先にいる。眠りにつく前に「今日はあの星へ行こう」と決めているので、眠っている間にその星かあるいは関わりのある何処かへ旅をしているのだと思う。当然ながらそれはまるで未知の世界なので、夢の記憶は地上にある既知の情報や想像できる範囲のイメージで編集されている。 今朝の夢の中でわたしはトルコかあるいは中東のどこかのような場所にいた。やはりわたしは旅の途中で滞在先へ向かっていた。淡いエメラルドグリーンの壁にピンクの装飾が施された建物の中を歩いていたのを覚えている。周囲はたくさんの人で賑わっていて、外にはモスクか寺院のようなものが見えていた。 わたしはホテルの入口またはエレベーターを探して歩いていた。建物はかなり巨大で、広々とした通路には延々とトイレの入口が並んでいた。エレベーターの前でどうやら同行者らしい女性に遭遇した。そして、彼女と同じ滞在先を予約しておけば便利だったなと思っていた。 そして、彼女がずいぶん薄着なことに気づき、そういえばここはかなり温かい場所なのだったと気づいた。わたしはロング丈のコートを着てスーツケースを手にしていた気がする。夏物の服は持ってこな…

空港で日本の住所が思い出せない夢

夢の中で空港らしい場所にいた。わたしはどこかに向けて出発しようとしていた。出発するにあたり、あるブースで住所を書く必要があったが、わたしは自分の日本の住所が思い出せず何度も間違えては修正した。あまりに修正したので新たな用紙に書き直そうとしたが、係員からはそのままでいいと言われた。 何度修正しても住所(番地)は思い出せなかった。そしてふと自分はもう日本には住所はないのだったと気づき、友人宅の住所を拝借して記入しようかと考えていた。 空港だというその近代的な建物は見晴らしのいい場所にあり、周囲にはなだらかな起伏のある草原が広がっていた。建物の中は徐々に混雑しはじめた。ベンチが並ぶあたりでは大きな集団がハンバーガーのようなものを食べていた。犬を抱えて歩いている人もいた。わたしは人混みの中を縫うように移動した。…

父からの電話

父から電話があり、現在住んでいるアパートを出て近くの高齢者住宅に引越すという報告を受けた。以前にわたしが提案したとおり、わたしが受取人になっていた生命保険は既に解約し、そのお金は今後の生活資金に充てるとのことだった。彼は電話口で「ありがとう」と繰り返していた。 わたしがまだ幼かった頃、父は勤務先の資金を使いこんだ上に借金を残して行方をくらました。その後も彼は借金を重ね、やがて両親は離婚した。幼少期の数年間以外、わたしは彼と共に暮らしたことがない。彼は確か二十年ほど前に現在の配偶者と再婚したが、飲酒癖やDVが原因で同居を拒否されている。わたしは彼の配偶者のことは殆ど何も知らない。 5年前の祖母の死後、相変わらず自滅的な言動を繰り返す父に、わたしは「いい加減にあなたは自分で自分を引き受けなければならない。先に死んだ家族という物語にどれだけ逃避しても、自分自身からは決して逃げることはできない。あなたは自死した自らの父親と似た道を選びたいのか?」と厳しく問うた。 そうして、新たに借金を作ろうとした彼を阻止し、彼が祖母から相続した不動産の売却を手伝い、新しい生活へ踏み出すよう促した。あの時…