海のそばのアトリエ
現在暮らしている国に海はないけれど、近隣国へ足を延ばせばあちこちに海がある。いくつかお気に入りの海辺の場所を見つけて、時々行き来すればいいと思い立った。 さらに、好きな海の近くにアトリエを持てたら最高だ。きっといい場所が見つかるのではないかな。そんな気がする。 随分前のことではあるが、何度もはっきりと見たビジョンが再び思い浮かぶ。…
現在暮らしている国に海はないけれど、近隣国へ足を延ばせばあちこちに海がある。いくつかお気に入りの海辺の場所を見つけて、時々行き来すればいいと思い立った。 さらに、好きな海の近くにアトリエを持てたら最高だ。きっといい場所が見つかるのではないかな。そんな気がする。 随分前のことではあるが、何度もはっきりと見たビジョンが再び思い浮かぶ。…
地図を見ているうちにジャージー島が気になりはじめたので、10月末にブルターニュを訪ねる際にフェリーで行ってしまおうかとも考えたが、そうすると旅程が慌ただしくなりそうなので、来年改めて訪れようと決めた。 まずジャージー島に滞在して、その後フェリーでサン=マロへ渡り、再びブルターニュにしばらく滞在するのもよさそうだ。モン・サン=ミシェル ~ サン=マロ湾 ~ ジャージー島は、わたしの水星・DCのライン上にある。水星だし、飛行機で数時間の距離なのだから、何度も行ったり来たりすればいい。 アストロマップはおもしろくて、たとえばわたしが初めて単独で訪れた(到着後は現地在住の友人に案内してもらった)日本国外の地はリスボン ~ アヴェイロだったが、マップ上ではキロン・MCのラインがちょうどリスボンの上を通っている。そのことに気づいたのは旅から戻ってずいぶん経ってからだった。 あのポルトガルへの旅は、わたしが東京での生活のすべてを徹底的に終わりにして、それまでしがみついていた社会的自我の物語を放棄し、野垂れ死にを覚悟するきっかけになった。あれがキロン・MCライン上にある場所だったというのはまった…
Waves Reference photo by Daphne Schnitzer…
この夏は旅立ちを見送る機会がつづく。 さくらが旅立っただけでなく、あの人も、あの犬も旅立っていった。 さくらが旅立った後は、まるひと月うまく眠れず、途方にくれてしまって、何も手につかないまま時が過ぎていった。4週間後にようやくまた絵を描きはじめたが、その後も複数の人々や生き物たちの旅立ちの知らせが続き、そのたびにさくらのことも思い出しては、何も手につかない状態に陥った。 誰かが旅立つと、当然ながらその身近な人からの連絡が届き、彼らの話を聴くことになる。そうして人の悼みに触れながら、図らずも自分の痛みを反芻することになった。ここ数日またしばらく止まってしまっていた。ホルモン周期のためか体調もいまいちで、なんだかつらくて頭が痛い。しかし、無理やりにでも動こうと決意し、今日は絵を描いた。 未だまったく立ち直れてなどいないけれど、そうやってなんとか、淡々と、いや粛々と、生きている。…
あるメーカーのパステルを購入しようと決意し、WEBサイトでどれにしようかと選んでいたら、これまで知らなかったすばらしいパステル画家を見つけて、彼女のアトリエ兼ギャラリーを訪ねてみたくなった。そこはフランス北西部にある海辺の街だ。近辺にしばらく滞在して、日がな一日海を眺めたり、絵を描いたりして過ごしたいと思った。 さっそく旅の計画を始めたところ、その周辺には他にも魅力的な場所があることがわかり、また、以前から一度お会いしたかった人にも会えることになった。しかも、彼女が車を出して、行きたいところへ連れて行ってくれるという。まるで土地に呼ばれているかのような展開だ。 ふと、何年も前に通勤電車の中で見た白昼夢を思い出す。心地よい水の感触まで伴う、あまりにはっきりとしたビジョンだった。今回訪れようとしているのは、あの眺めに似た場所のような気がしている。 航空券も購入し、旅の予定はあっという間に定まった。そして、ちょうど旅の最中に月食が起きることに気づいた。天気がよければ海の上の月食を眺めることができるだろう。アストロマップを見てみたら、そのあたりはちょうどわたしの水星・DCのライン上だった…
以前、水晶玉の中にはっきりと見えた、雌ライオンの頭と猛禽類の羽根を有する存在が彫られたフリーズ(パネル)はこれだろう。ズー(Zū)あるいはアンズー(Anzū)という呼称のメソポタミアの霊鳥。 ズーはライオンの頭を持つ巨大な鳥で、その翼で嵐や雷を巻き起こす。『ルガルバンダ叙事詩』では、主人公に力を授ける霊鳥として登場するが、後の時代に作られた『ズーの神話』では、「天命の書板」を盗んだ怪鳥として戦闘の神(元は農耕と治癒の神)ニヌルタによって退治される。 主神に仕えながら主神権の象徴である「天命の書板」を盗み出したズーは、つまりはシャヘルであり、ルシフェルだ。また、エジプト神話の霊鳥ベヌにも繋がっているだろう。 イナンナが聖なる園(エデン)に持ち帰って育てた世界樹が天まで届くほど大きく育った頃、ズーがやってきて、この世界樹の上に巣を作り雛を育てはじめた。さらにこの世界樹の根には蛇が巣を作り、その幹にはリリスが住処を作った。 神話の中では、イナンナは双子の兄である太陽神ウトゥに助けを求め、ウトゥは世界樹の根に住んでいた蛇を退治する。ズーは子どもたちとともに天の頂まで昇り、そこに巣を作る…
わたしのヘリオセントリック土星はカストールと合で、松村潔氏の解説によれば、わたしは地球上ではカストールの代表者だということらしい。このヘリオセントリック土星には、ズベンエルゲヌビと合となる水星が120度で、単純に言えば、わたしは「社会活動家的な物書き」だ。わたしの地球ポイントはゾスマと合なので、これはわかる気がする。獅子座の恒星ゾスマは、マイノリティや犠牲になった人々を載せる獅子の背だ。 わたしがよく犠牲者意識について考察しては書いているのは、まさにこのゾスマの力だろう。ゾスマは、社会などの大きなシステムの犠牲になることを暗示すると言われるが、それはつまり、システムの犠牲者を助ける側に回ることも可能だということだ。(自らの考え方や思い癖によって)自分を犠牲者にしてしまいやすいからこそ、被害と加害というコインの裏表もよくわかるのだろう。 若かりし頃のわたしは確かに根強い犠牲者意識を持っていて、自分のさまざまな生きづらさを、生まれ育った環境や他者のせいにしていた。しかし、今になって振り返ると、あれは結局、自分で自分を引き受けようとせず、“今ここ”から自らの人生を作っていくのを拒否し…
チェコに移住する前の一年半ほどの期間、わたしはある役割のため、チェコと日本を行き来するだけでなく、あちこちへ旅をすることになった。そうして旅先では、なぜかいつもその場その時に出逢った人々から悩みを打ち明けられ、話を聞くことが多かった。中には友人となり、今でもたまに連絡を取り合う人もいる。 あれは、わたしが単独で旅をしていたからこそ起きた展開だったのだろう。旅人だったわたしは、彼らにとっては云わばマレビトであり、風であったのだと思う。 ある国では滞在したホテルのオーナーから家族に関する悩み事を打ち明けられ、別の国では自殺未遂をしたという若者から話を聞いた。ここ数年は用事も兼ねて日本へばかり出向いていたが、日本ではいつも誰かから打ち明け話を聞く機会が重なる。思えば昔からそうだった。 これまであちこちで多くの人から打ち明け話を聞いてきて感じるのは、悩みや問題の大半が、両親あるいは家族との関係に起因しているということだ。親あるいは家族との間に生じた(作り出した)感情と、それを受容できないが故の葛藤が、その後の本人の思考や行動、あらゆる選択に繋がっている。 自らで認めて受け入れること…