父について

先日メールで連絡をもらった父の後見人に、電話でわたしの現在の事情を説明したところ、すんなり理解してくださった。 父は寝たきりになり、認知症がかなり進行しているため意思の疎通が困難で、唐突に「女を呼べ!」等と言ったりしているらしいが(ケアワーカーの方々がうまく対応してくださっているそうだ)、以前よりも気性は穏やかになったと聞いた。彼は昔から常に、金があれば酒を飲み、女性相手に散財するかギャンブルに費やしては借金を重ねて逃げてきたので、現在の彼の様子を聞いても驚きはない。 わたしは何も対応する必要はないと聞いてほっとした。今後も彼に何か変化があれば、後見人から連絡が入ることになっているが、彼が死ぬまでわたしは何もしなくてもいいようだ。わたしはもう彼に関わるつもりはないので、そう確認できてよかった。後見人役を担ってくださっている方ははきはきとした明るい女性で、彼女との対話はいつもわかりやすく、快適で安心できる。 父は結局最後まで、自分に向き合うことも、自分を引き受けることもなく、自分が創り出している現実からも目を背け、逃避しつづけて、今に至るのだなと改めて思う。わたしの家族・親族には、…

終わりを終わらせるために

風呂に湯を張っている間にたまたま広告を目にした漫画を数時間かけて読みふけってしまい、こんな時間(4:00 am)になった。たまにこういう時がある。肉体的にも精神的にもそうとう疲弊していたのだと思う。 土曜日には熱が下がり、火曜日から続いていた下痢も止まって、やっと回復してきたかと思っていたが、日曜日の夕方にはまた熱が上がり、下痢も再発。わたしの身体は、やってもやっても終わらない遺品処分がほとほと嫌になっているのかもしれない。それだけでは無い。SNSなどには書かないようにしていた厄介な親族との関係や、母と母のパートナーが遺した親族との間の権利問題等もあり、とにかく疲れ果てた。 しかし、もうすぐ本当に終わる。そうすればこの家から離れられるし、関わりたくない人たちともすっぱり関係を断つことができる。 母と母のパートナーの遺品の処分と整理はほぼ完了したと思っていたら、さらにまた衣類が出てきた。スラックスだけでも40~50本はある。大きなゴミ袋6つ分になった。母の衣類は3年前にかなりの量を処分したが、まだまだ残っていたようだ。よくこれだけのモノを溜め込んでいたものだと呆れてしまう。 この…

6年前に見た夢

6年前、わたしはこんな夢を書き留めていた。夢の中の人物は「私がすべてしっかりサポートするから、君はアーティストとして生きる腹を括りなよ。」と言ったのだった。 2017年11月22日 ドバイへ向かう飛行機の中で、不思議にリアルな夢を見た。あまりにリアルだったので、目覚めてすぐに書き留めた。夢の中の人物が私に投げかけた言葉と笑顔、そして私が感じた安心と喜びの感触が今もはっきりと残っている。 夢の中の人物は「私がすべてしっかりサポートするから、君は〇〇として生きる腹を括りなよ。」と言っていた。私の中にいる存在がそう言ったのだろう。 腹をくくれば照準が定まり、照準が定まれば今取るべき行動が明らかになる。必要な出会いや経験が必ずやってくるのは、思考を超えたところで本当は何が必要かを知っているからだ。「思い通り」という思考の枠を超えて、すべては意図した通りになっていく。…

Follow Your Bliss

先日幼友達に、ジョゼフ・キャンベルの有名なあの言葉を伝えた。彼女はそれをすぐに理解した。私自身がまさに彼が言う通りのプロセスを歩んできて、不思議とも奇跡的とも言えるような出逢いに導かれてきたし、幼友達はそんなわたしの経緯をよく知っているので、わかりやすかったようだ。 "If you do follow your bliss you put yourself on a kind of track that has been there all the while, waiting for you, and the life that you ought to be living is the one you are living. When you…

止まれというサイン

今回の日本滞在中に終わらせたい銀行等の手続きが、長引く体調不良によって滞っている。いつ回復するかもわからなかったので、銀行窓口訪問の予約(!)もできず、すべては来週に持ち越すしかない。 日本到着後、なぜかスマホ(Android)にアプリがことごとくインストール出来なくなってしまい(すべてpendingになる)、可能な手はすべて尽くしたが解決せず、各銀行のアプリを使った手続きもできない状態だ。もちろん日本到着後は日本のGoogleアカウントを使用してインストールを試みているのだが。これについては、ホテルに移動したら異なるWifiで試してみるつもりだ。 さらには、おそらくスクリーンと本体を繋ぐ部分に支障が生じてスクリーンが映らなくなってしまった仕事用ラップトップ(以前にも同じ症状をチェコで修理した経緯がある)は、やはり日本で修理をするにはまず部品を取り寄せねばならず、それだけでも1~2週間はかかるとのことで、修理はあきらめた。チェコに帰ったらすぐに新しいラップトップを購入するつもりだが、日本滞在中はすべての仕事をスマホで処理するしかなく、なかなかつらい。 これだけいろいろと不具合が重…

夢と現実

先日訪ねてきてくれたチェコ雑貨店を運営する同級生との対話の中で、10代の頃の自分が「海外に住んで、英語を使って生活・仕事をしたい」と言っていたことを思い出した。当時のわたしは、彼女ともどもスイスへの移住を夢見ていたらしい。実のところ、わたしはそんなことはまったく覚えていなかった。 そして今、スイスではなくチェコではあるが、当時わたしが漠然と夢見ていたことは確かに実現している。 「Rちゃんはあの頃よく絵を描いていて、わたしに絵をくれたこともあった。今でもそれらの絵はうちにあるよ。」と彼女から言われ、わたしはやはりそんなことはすっかり忘れていたので驚いた。そして、彼女は「Rちゃんは既に再び絵を描いているし、次に実現するのは、絵に関するビジョンかもね」と言った。わたしもきっとそうなる気がしている。すべては既にそこへ向かって動いている。…

わたしの最適解

日本にいると、書くこと・言葉数が明らかに増す。わたしが日本にいる時とは、家族をはじめとする社会関係の中のさまざまな面倒事を片付ける時なので、やはり負担が大きく、書くことで整理し、手放し、自分をなるべく楽に快適に保とうとしているのだろう。 弾き出されるように日本を飛び出し、思いもよらずチェコに漂着してそのまま移住したけれど、あれはまさに上位の導きであり、望み通りだったと実感する。遠く離れているから、負担の大きい関係とは距離を置くことができたし、だからこそ、母や母のパートナーと対等な他者同士として関係を築き直すこともできた。 わたしにとって、日本を離れることになったのは最適解だったとしみじみ感じている。…

陰陽を脱するとは

日本にいると、相対的・社会的自我の範囲で闘っている人々に関わる機会が多い。チェコでの普段のわたしは、自覚的なアウトサイダーとして社会から距離を置いて暮らしているが、日本に来る時には、社会的枠組みの中で生きる人々と接する機会が増すからだろう。 そうした人々を眺めながら改めて実感したのは、何かを否定すればするほど、それをますます引き寄せる(創り出す)ということだ。自らの影に気づかずに、外側に見ている自身の投影を否定し、闘えば闘うほど、自分も世界も傷んで分離は深まる。 他者に対して生じる否定や嫌悪といった機械的反応の基は自分の中にある。それが自らの影だ。自分の影を認め、それを投影している対象もまとめて呑み込んで、自分を一回りも二回りも大きくしてしまえばいい。自身を統合する、つまり陰陽(相対性)から脱するとはそういうことだ。…