Perfect Daysを観て
わたしが暮らしている街の小さな映画館でも『Perfect Days (チェコ語タイトルは"Dokonalé dny")』が上映されたので、観に行ってきた。 まず、思っていたよりもずっと多くの観客がいて驚いた。たくさんの人が細かな演出やディテールに反応し、時に笑い、ポストクレジットシーンまでしっかり楽しんでいた。 ヴィム・ヴェンダースらしい、静かで、端正な映画だった。わたしは、彼が尊敬しているという小津安二郎の映画を知らないので、その影響については語れないが、ところどころにタルコフスキーの作品にも通じる要素を感じた。そして、役所広司は実に素晴らしかった(ラストシーンは圧巻!)。田中泯の存在感(現象感)が凄かったのは言うまでもない。 主人公・平山の生活には、共鳴する面が多々あった。派遣社員として働きながら東京で暮らしていた頃、わたしも毎日小さなカメラを持ち歩き、木々や草花や水面を眺め、光と影のダンスや一瞬の反映に一人で魅入っていた。小さなアパート、いつもの自販機、いつものベンチ、名も知らぬいつもの顔ぶれ。ガラケー、いつもの古本屋、コインランドリー、馴染みの居酒屋。あの日々が懐かしく思…