2020‐08‐19 母を看取った後の日本滞在日記

2020‐08‐19 母を看取った後の日本滞在日記

母のパートナーは、わたしに度々「(同じ建物内に棲んでいる)伯母・叔父の機嫌を損なわないよう、うまくやってくれ」と言う。彼は長年わたしの母と彼らとの間を取り持ってきたらしい。しかし、彼からそう言われるたびに、わたしは違和感を覚えている。

一方が常にもう片方の機嫌を損なわないよう扱い続けなければ関係が維持できないなら、そもそも双方の間に対等な関係など成立しないのではないか。たとえそれが家族・親族であっても、互いに別々の個として向き合うことができないなら、無理に一緒に暮らそうとはせず、離れるのがいい(しかし、彼らはそれができなかった)。

彼は「(伯父・伯母の)の機嫌を損ねたら、身体が不自由な自分には、母が残した犬の世話もできないし、家の権利等についても後々もめてしまう」と常に懸念している。しかし、そもそも相手の機嫌を取りながら関係を維持するのは、相手の存在をきちんとカウントしていないということだろう。

彼が、相手の存在をきちんとカウントしていないのは、彼自身が自分をカウントしていないからだ。彼は、相手との関係における自分の立場と都合しか見ていない。つまり、自分が不在なのだ。立場と都合しか生きておらず、自分が不在なままだと、他者との間に対等な関係を築くことは不可能だ。

自己を生きようとせず、自分の内面から目を逸らして、人のことばかり考えている(つもりになっている)から、身体を傷めつけて、挙句には回復できないほど重い病を患うんじゃないか。母の病と死を見届けた後はっきりとそう思ったし、彼女のパートナーを見ていてもやっぱりそう思う。

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