ボヘミアの大地が歌う

昨日取りかかることができなかった分、今日はまた5時間以上集中して制作中の絵に取り組んだ。絵はほぼ完成というところまで来た。後は細部を僅かに修正するのみ。今日はほぼぶっ通しで描いていたのでさすがに疲れた。しかしこれは満足を伴なういい疲労感だ。 今日も描いている間はずっと大きいスピーカーで、ラファエル・クベリーク&バイエルン放送交響楽団によるドヴォジャークの交響曲第9番を繰り返し聴いていた。もう何十回聴いただろう。聴くたびに発見があり、新しい感情がやってくる。描きながらたまらなくなって声を挙げたり、歌ったり、大きく身を動かしたり、涙を堪えたりしている。 この絵を描き始めてからずっと、ドヴォジャークが見守り励ましてくれているような感覚がある。彼の音楽によって絵が、色が、導かれたのは間違いない。そして、この交響曲はまるでボヘミアの大地が歌う賛歌のようだ。地霊、精霊、そして魂が歌っている。…

過去を振り返って

今朝は目覚めた時の体感があまりに辛くて、朝一番に市役所へ出向く予定はキャンセルし、午前中いっぱい休んでいた。深夜に一度目が覚めてトイレに行き、明け方には悪夢(いつものように蛾や虫が寄ってくる夢)に叫び声をあげて目を覚ました。今週はずっと体調が優れなかったので、その影響もあったのだと思う。蠍座の新月らしいともいえる。 いくつも夢をみて、夢の中で、かつて関わりがあった人たちとの何とも居心地の悪い遭遇を味わった。みな現実ではもう関わりのない人たちだ。夢の中でわたしは、こちらの質問を無視したり、きちんと答えない彼らに別れを告げた。そして彼らがいる場所を去った。現実と同じだ。 夢に現れたのは、彼らがわたしを必要とした時だけ近づき、わたしが本当に苦しい時には離れていった人たちだった。中にはすっかり忘れていたような古い知人もいた。しかし、こうして振り返っても、もはや感情は一切動かない。あれらはみな、トラウマと傷を抱え、自尊心の機能不全を起こしていた当時のわたしが引き寄せた現実(鏡像)だった。 そんな風に淡々と過去を振り返り、それらがすべてすっかり終わった過去生のようなものであることを改めて実感…

疲労からの回復と母と祖母が暮らす隠し部屋の夢

週末から寝込んでいたので、いつも以上にたくさんの夢を見た。久しぶりに、扉を開けた先にある隠し部屋のようなところに母と祖母が暮らしているのも確認し、やっぱり彼女たちは北斗七星にいるのだと実感した。今回見た空間は、複数の部屋が連なっていて、いろんなタイプのベッドがいくつも置かれていた。 いつも通り、日本滞在から戻った後はPMSも月経もあちこちの痛みが強くて、あまりの辛さと倦怠感に土曜日から寝込んでしまった。さらに右のピアス穴の周辺が腫れて痛みも出ていたのが、いよいよ血と膿が流れ出てきた。これらの出血を経過すればやっと回復できそうだ。 結局、今回もまた蓄積した睡眠不足と疲労から回復するのに3週間近くかかっている。身体に無理を重ねて大きな負担をかけると、回復にも同じだけの時間、あるいはそれ以上の時間を要する。…

悲嘆を通過して

2023年7月にさくらが旅立った後、わたしはしばらく完全な悲嘆状態(鬱状態)に陥った。その最中も、少し立ち直ってからも、自分が抱えるあまりに大きな喪失と、その悲しみ、痛みを、きちんと聞いてもらった相手は、共に暮らしているV以外いなかった。 幼友達にはメッセージを通して話を聞いてもらってはいたけれど、口頭で話す機会は無かった。昨年10月に訪れたブルターニュで、現地に暮らす友人と食事を共にした際、さくらのことを話しているうちに涙が溢れて止まらなくなった。彼女にただ話を聞いてもらい、素直に泣くことができて、とても救われたのを覚えている。 しかし、そのブルターニュ滞在中に、母の内縁の夫が急逝したため、またわたしは多忙な状況に追われることとなり、自分の悲しみや痛みを感じて言葉にする時間がなくなってしまった。今年の年始に一人でヘルシンキで短い休暇を過ごし、その後数ヶ月の鬱期間を経て、ようやく悲嘆を通過できたのだった。 今でもこうして書いていると涙が込み上げてくるけれど…ね。…

父の車の給油を手伝う夢

夢の中で父の車の給油を手助けしていた。そこはがらんとした妙にだだっ広いコンクリート造りの給油所で、経営者は高齢の女性らしかった。父の車はあまりに古いため、給油にはエクステンションホースが必要で、他の給油所ではもう対応していないようだった。 わたしは長い長い給油ホースにさらにエクステンションホースを取り付ける手伝いをした。ガソリンタンクは、停車位置からはいくつかの段差を上ったところにあるようだったが、ホースの先は死角になっていて見えなかった。父は車から少し離れた場所で暢気に煙草を吸っていた。 わたしは父に「今はまだこの給油所があるからいいけれど、経営者も高齢のようだし、ここが閉業したらあなたはもう給油ができなくなる。そうしたら車を換えるしかないかもね」というようなことを言った気がする。彼は生前と同じようにのらりくらりとしていて、話を聞いているのかどうかわからなかった。 夢の中でもわたしは現実と同じように、父が聞いているかどうかは気にもせず、「おそらく聞いていないだろうし、やりたいようにやってください」と思っていた。既に亡くなった他の人たちとは違って、父の姿はうっすらと見えていた。多…

実家の床に虫が湧いている夢

夢の中で、以前の実家に似た建物を訪れていた。わたしの滞在用に残してあるという家具のないがらんとした部屋に入ると、床の木材の隙間から大量の虫が現れてうろうろしはじめた。わたしは床の上にあった「さくら」だという小さなぬいぐるみを手に取り、部屋を出て、母と祖母に「虫が大量に湧いている、何とかしないと」というようなことを言った。夢の中では、床の上を這っているのはナメクジだと思っていたけれど、見た目は黒っぽくて複数の足がある小さな虫だった。やがて何かしらの専門家らしい眼鏡をかけた女性がやってきて、部屋の中を確認しはじめたあたりで記憶が途切れている。 母と祖母が夢に現れたのはちょっと久しぶりだった気がする。いつものごとく彼女たちの姿は見えなかったけれど、それが彼女たちだということははっきりわかった。夢の中で既に死んだ人たちに会う時、その姿形は見えることがない。 先月日本で申請した母方の祖父・祖母名義の不動産の相続登記が無事に完了し、すべてを相続した親族から登記完了証を受け取ったという連絡が届いた。これでわたしは、母方・父方どちらものしがらみと重荷から完全に解放された。これまでの人生の大半を…