虚無より

日本で母と母のパートナーが暮らしていた家を整理・処分して手放し、チェコに帰ってきたら、ようやくほっとしたのか、しばらくうつ状態に陥っていた。シャワーや歯磨きすら困難になり、人になど会いたくもなく、クリスマスの時期も、Vの家族や親族には会いに行かずに一人自宅で過ごした。 母のパートナーは、わたしにとっては唯一の「さくらのことも、母のことも、共有してきた存在」だった。そんな彼もいよいよ亡くなり、「とうとう誰もいなくなってしまった」という大きな喪失感を味わっている。 7月にさくらが旅立ち、しばらくは眠ることすらできない日々を過ごしていたが、9月以降は様々な用事が続いてとにかく忙しかったため、自分の悲しみや喪失感を味わう余裕すらなかった。だから、ようやく実感が戻ってきたのだと思う。 この喪失感は、実は元からあるものだ。自分の中には埋めようのない巨大な虚無がある。生きていると、そのことを直視し、認めざるを得ない時が何度もやってくる。そして、このブラックホールのような虚無の穴こそ、創造の源だということもわたしは知っている。 作ることによって生きるしかない。しかし、時には、そう転換するに…

Neptune is calling

海王星が呼んでいる。ふとそう感じることがある。 わたしの海王星はアンタレスと合で、わたしにとって海王星はアンタレスという多次元へのゲートを行き来する船のようなものだ。 松村潔氏は以前「海王星(アストラル体)の布団で寝ている」と書いていた。わたしは、自分はいつも片足を海王星に置いていると感じている。そして、この海王星の船の規模を拡大しようとしている。この船は、自分専用の船であると同時に、他の人も利用できるものになればいい。船を大きくするとは、ゲートウェイを太くすること。管の拡張、自在化、そして自由化。…

自在に行き来する

渚、つまり複数の要素が混ざり合うあたりで、どれかひとつに入り込んで固定するのではなく、水際で眺めながら、あちらとこちらを自在に行き来するのがいい。行き来することこそ“わたし”の本来の性質でもある。…

Feeling the tidal shift

ここ数年、特に今年の夏以降は、大きな潮目の変化を感じ続けている。長いスパンで眺めれば、もっと前から続いている流れではある。 船は形が変わり、既に以前とはまったく異なる海を航海し始めている。そして終わりはない。…

終わりのないことを目的に

自己の内的な開発や拡大のための手段であるはずの行為も、練習を重ねて技術を磨いたり、新たな道具や方法を取り入れたり、他者から学んだりしているうちに、内と外が入れ替わってしまい、手段を目的だと思いこんで、本来の意図を見失いそうになることがある。しかし、それでも続けているうちに、やがてまた目的を思い出させる、あるいは刷新させる機会が何度でも与えられる。 そんなふうに、内と外、あちらとこちらを行き来しながら、見える世界においても見えない世界においても自己の領域を広げ、自己を超えていく。そもそもそれこそが目的だと言えるかもしれない。 死ぬまで終わらない(本当は死んでも終わらないが)ことを目的にすると、一生退屈することがない。…

"Daydream" - The shore in Cancale, 2023

"Daydream" - The shore in Cancale The shore where I stood in a daydream that I had in the metro in Tokyo nine or ten years ago, and where I had been drawing in a dream two years ago, even though I had not yet started drawing. The…

The Shore in Cancale, 2023

久しぶりに青空が広がり、短い時間ではあったが、明るい自然光の中で絵を描くことができた。Pastels Girault のパステルを使うと描く絵が明らかに変わる。今日は Catherine Hutterさんからもらった紙(メーカーを聞き忘れたが、一般向けには市販されていないと聞いた)を初めて使ってみた。みるみるうちにパステルが削られて小さくなるけれど、驚くほどに色が鮮やかに載る。描いていてとにかく愉快だ。 2年前の今日、わたしはこんな夢を見たようだ。すっかり忘れていたけれど、Facebookが教えてくれた。 夢の中で絵を描いていた。以前オーラソーマを教わった女性の元に、幼友達を含む女性二人が集まって何かをしていた。わたしはVとさくらとともにその場所を訪ね、そこで絵を描くことになった。「さて、何を描こう」と思いながら紙を前にしたら、手が勝手に海の絵を描き始めた。青系の色のみで描いていた気がする。すーっと水平線を描き、さっさっと手を横に動かして漣を描写していた。水平線の向こうにはモン・サン=ミシェルに似た建物のシルエットが小さく描かれた。自分ではないものによって手を動かされているかの…