虚無より
日本で母と母のパートナーが暮らしていた家を整理・処分して手放し、チェコに帰ってきたら、ようやくほっとしたのか、しばらくうつ状態に陥っていた。シャワーや歯磨きすら困難になり、人になど会いたくもなく、クリスマスの時期も、Vの家族や親族には会いに行かずに一人自宅で過ごした。 母のパートナーは、わたしにとっては唯一の「さくらのことも、母のことも、共有してきた存在」だった。そんな彼もいよいよ亡くなり、「とうとう誰もいなくなってしまった」という大きな喪失感を味わっている。 7月にさくらが旅立ち、しばらくは眠ることすらできない日々を過ごしていたが、9月以降は様々な用事が続いてとにかく忙しかったため、自分の悲しみや喪失感を味わう余裕すらなかった。だから、ようやく実感が戻ってきたのだと思う。 この喪失感は、実は元からあるものだ。自分の中には埋めようのない巨大な虚無がある。生きていると、そのことを直視し、認めざるを得ない時が何度もやってくる。そして、このブラックホールのような虚無の穴こそ、創造の源だということもわたしは知っている。 作ることによって生きるしかない。しかし、時には、そう転換するに…