束の間の夢
歳をとり、自力で立てなくなって、食欲もなくなり、痩せ細っていく犬たちの姿をSNS等で見るたびに、さくらの旅立ちを見送った日々を思い出す。そして、飼い主さんたちの想いだけでなく、大変な日々も想像でき、身体の中に深い深い静けさが広がる。それは、底のない真っ暗な穴のごとき静けさ。 みんなあっという間に旅立っていく。 残った記憶はすべて夢のよう。 終わらせるためにここへ来た。 そう気づくよりもずっと前から、今回は幾つもの命を見送るような気がしていた。…
Low Tide Reflections Pastel on Pastelmat 24x30 cm…
歳をとり、自力で立てなくなって、食欲もなくなり、痩せ細っていく犬たちの姿をSNS等で見るたびに、さくらの旅立ちを見送った日々を思い出す。そして、飼い主さんたちの想いだけでなく、大変な日々も想像でき、身体の中に深い深い静けさが広がる。それは、底のない真っ暗な穴のごとき静けさ。 みんなあっという間に旅立っていく。 残った記憶はすべて夢のよう。 終わらせるためにここへ来た。 そう気づくよりもずっと前から、今回は幾つもの命を見送るような気がしていた。…
太陽が沈む方角が日ごとに移り変わっていく。 日が沈んだ後も空はしばらく明るい。日が長くなると、部屋の中が静かに暗さを増していくこの時間がますます心地よく感じられる。 そして、日没後のこの時間にだけ現れる淡いミントグリーンのような空の色にはいつも見入ってしまう。 そういえば、日本で会社勤めをしていた頃も、仕事の後にこの青い時間の街を歩くのが好きだったことを思い出した。街も、木々も、人々も、徐々に深みを増していく青いベールをかぶされたようで、まるで夢の中を歩いているみたいだと感じていた。カメラを持って、宛もなく青い空気の中を泳ぐように歩き回った。…
電車の窓の向こうに広がる南ボヘミアから中央ボヘミアにかけての風景を眺めていると、肉体的にはやはりここがわたしの居場所なのだなといつも感じる。 日本の風景や、味や、さまざまな記憶を、どれほど懐かしく思い出すことはあっても、それとはまた異なることのようだ。…
Thousand Year Old Cherry Tree Pastel on Sennelier Pastel Card 24x32 cm…
今朝もたくさんの夢を見たが、大半は忘れてしまった。ただひとつ、強く印象に残っている場面がある。そこは東京でも大阪でもなかったが、日本のどこかの大都市のような場所だった。大きな幹線道路の上に、さらに大きな高架が建っており、周囲にはたくさんの高いビルが建ち並び、多くの人や車が行き来していた。 道路には大きなスクランブル式横断歩道があって、たくさんの人々がこちらに向かって渡ってくるのが見えた。同時に、その道路が巨大な川となり、その上を渡る人々と滔々と流れる澄んだ水が重なるようにして見えた。さらには、そこが真っ白な砂が広がる砂丘、あるいは砂浜のようにも見えた。いくつもの映像が重なって見えているような、説明しがたい光景だった。 わたしは、ある友人と二人で、幹線道路から一本脇に入った道を通ってどこかへ向かおうとしていた。すると、作業員らしき男性が、あるビルの横に、高さが180cmぐらいはありそうな赤い箱型の緊急装置を設置しようとしていた。それは火災などの災害時に使われるもののようだった。 わたしは彼に、この辺りはオフィス街で火災の可能性は低いので、別の場所(道路の反対側、向こう側)に設置する…
夢の中でさくらを抱いていた。 さくらは歳を取り、自力ではあまり歩けなくなっていたので、わたしは彼女を抱いて歩いていた。彼女の身体は少し痩せて軽くなっていたけれど、ふわふわした柔らかな毛並みは変わっていなかった。 わたしたちはショッピングモールのような場所にいた。店舗の間にある通路では、Vが近所の人たちや知り合いと立ち話をしていた。わたしは彼らと挨拶を交わした後、モールを通り抜けて奥にある自分たちのフラットらしい場所へ向かった。 さくらはあまり歩けないため、身体を擦り付けることが多いからか、毛が少し汚れていて、胸元には少し血が滲んでいた。わたしはVに「さくらを洗っても大丈夫だろうか」と相談していた。そして、さくらの胴を包むカバーを見つけて着させようかと考えていた。…
夢の中でボリビアにいた。そこは高い山の上で、目の前には大きな青い川が流れていた。わたしは複数の女性たちと共に、川の畔で風景を眺めていた。時折船が驚くような速度で目の前を通り過ぎて行った。川の右手遠くにはターコイズブルーに輝く海が見えていたが、ここは高原なのだからあれは湖かもしれないと思った。 別の夢では、わたしは母と共に旅をしていた。わたしたちは知らない街で夕飯を食べに出かけているようだった。車で移動した夜の街の様子と印象だけが記憶に残っている。わたしたちは寿司を食べることにしたか、あるいは食べた気がする。 また別の夢では、わたしは母方の祖母と共に知らない街にいた。夕焼け空が広がる中、わたしたちは駅の方へ向かって歩いていた。途中、祖母が道沿いの工場の中へ入ろうとするのを止めたことを覚えている。やがて駅だと思われる古い建物が見えてきた。駅の周辺には大きな建物が建ち並んでいて、思いのほか都会だなと思っていた。 更に別の夢では、わたしは合宿か何かに参加しているようだった。古い知人が所有あるいは管理する場所に、知らない女性たちと共に滞在していた。持参していた古いブランケットに自分のもので…