無題

絵の完成は、いつも自分で決めるのではなく、手を止めて描き終えなければならない時がやってくる。その後、あちこち修正したくなることもよくあるが、必要以上に手を加えないようにしている。慎重に描き上げることと、執着することは、まったく別のことだ。 特に描き終えてすぐの時には、あっちもこっちも納得がいかず、ようやく自分の見誤りや思い違いに気づくこともある。そうして、自分の目と手の思い込みに気づかされては、まだまだ修練が足りないと実感する。 たとえ納得ができなくても、描き終えた絵は修練の過程として形に残す。そうすると、それを見た人たちが、わたし自身だけでは得られなかった印象や感覚を教えてくれる。そして、そこにはいつも驚きがある。…

再会

プラハで用事を終えた後、4~5年ぶりに友人と会った。当然ながら話題が尽きず、あっという間に2時間が過ぎた。互いの親の看取りとその後の大変さ、彼女のお子さんの成長、仕事のこと、家のこと、身体のこと等等、現実生活のあれこれを報告しあい、今後の人生や精神世界の話題でようやく盛り上がってきたあたりで、今日は時間切れ。 気のおけない友人を相手に、現状と、今に至るまでの経緯と決意を日本語で話したことで、自らの腹のくくりを確認した。わたしも、そしておそらく彼女も、今回の人生の本題はまだまだこれから。そんなことを話している間、「クエスト」という言葉が頭の中で何度も響いた。…

足のむくみと海王星の逆行

一週間ほど前から、長らく履いているメディカルブランドのルームシューズがきつく感じられ、足も脚もあまりにだるくて立っても座っても辛かったのだが、一昨日、足が非常にむくんでいることに気がついた。足首が一回り以上も太くなっていて、いつもははっきり見えていたはずの足の甲の筋や血管も、くるぶしの骨も、すっかり隠れてしまっていた。 これまで足のむくみを実感したことは滅多になかったので、初めて見る自分の足の状態に驚いた。長らく足のケアなどしていなかったが、あわてて念入りにマッサージをし、ツボを刺激して、いつもよりさらに多くの水を飲むようにしてみたら、今日にはほぼ元の状態に戻った。 思えば、日本にいた頃は、風呂の中や布団の中で、足を揉んだり、足の甲の筋を押して広げたりと、日常的に足のケアをしていた。しかし、チェコで生活をするようになってからは、風呂場がない(バスタブかシャワーブースしかない)のと、床に直に座る習慣がないこともあって、足のケアなど忘れてしまっていた。 PMSの症状にもむくみはあるようだが、更年期には更にむくみが出やすくなるようだ。今後は、意識的に足および脚のケアを続けていこうと思う…

大きな決断

昨日、これまでの人生の中でも最大級の決断を下した。4月半ばに突然やってきたこの件のため、ここ数ヶ月間は本当に大変だったが、熟考と検討を重ねた結果、それしかないと決心した。 この件による精神的ストレスと忙しさ(+暑さによる疲労)のため、丸一ヶ月間絵を描くことができなかった。実際に着手するのはこれからなので、精神的重圧はまだしばらく続きそうだが、そう遠くないうちにまた絵を描ける状態に戻れるだろう。…

無題

これは今日に限ったことではないけれど、それでも今日は殊更に眠りから目覚めたくなかった。だが、肉体が生きている限り排泄も摂取も必要で、18時間眠りつづけた後いよいよあきらめて起きることにした。 4年前にCOVIDが現れてロックダウンが始まり、膵臓癌を患った母の治療を遠隔でサポートし、ようやく日本に行くことができて母を実家で看取り、膨大な量の物事を整理し、さくらをチェコへ連れてきて、地方都市に移住してしばし静かに暮らしていたが、母の納骨を終えてすぐにさくらが旅立ち、母のパートナーも亡くなり、日本の実家も手放した。大変だったな。 こう振り返ると、自分がすっかり疲れ果ててしまっているのも仕方ないと思える。うん、わたしは疲れたよ。しかし、今はまた別のあれこれに追われている。地上で固体として存在するだけのために、やらなければならないことがありすぎる。今年こそはせめて母方の遺産にまつわる手続きをすべて終わらせたい。…

目的の電車に乗るため駅を探す夢

18時間も眠ってたくさんの夢を見た。 ある夢の中では、わたしはまた旅先にいて、大きな駅の中を移動していた。わたしには複数の同行者がいるようだったが、みな知らない人だった。わたしは目的地へ向かう電車(新幹線という設定だった)に乗るため、プラットフォームへ向かおうとしていたが、少し道に迷っていた。 エスカレーターをいくつも昇って地上階に出た。目の前に現れたのは巨大な古代建築物だった。一人の女性がその建物の古いドアから出てくるのが見えた。同行者たちは「駅だ」と言ったが、わたしは「いや、これは大聖堂か何かだ」と答えた。そこで、向かうべき駅がまったく別の方角にあることに気づいた。 わたしは再びいくつもエスカレーターを降りて目的の駅へ向かった。人の流れについていくとまた違う場所に辿りつきかねないので、惑わされないようにしなければと思いながら歩いた。やがてたくさんのプラットフォームがずらりと並ぶ場所に到着した。 わたしは、自分が乗る電車の番号も、プラットフォームの番号もわからなかった。しかし、自分が立っているプラットフォームの右側に停車している電車がそれだと感じて飛び乗った。その電車には「し…

死んだ家族が勢ぞろいしていた夢

夢の中に、母方の祖父母、母、母のパートナー、そしてさくらが登場した。わたしたちはどこかのホテルの一室にいた。室内の床は埃まみれな上にゴミも散乱していて、わたしは懸命に掃除機をかけていた。祖母が室内で煙草を吸いはじめたので、わたしは「煙草を吸うなら外に出て!」と彼女をベランダへ押し出した。室外の共用部分にもたくさんの吸い殻が落ちていたので拾って掃除した。 さくらは掃除機の音が苦手だった。夢の中でもさくらは、わたしが掃除機をかけている間、ベッドの下に隠れてこちらを見上げていた。わたしは「ごめんね、さくら、もうすぐ終わるからね」と彼女の頭を撫でた。 数日前から理由もなく憂鬱な気分に襲われて、昨夜から今日にかけては18時間眠り続けた。さくらが旅立ってからもうすぐ一年が過ぎようとしていて、それでわたしはまた辛いのかもしれない。そういえば今日は、母の納骨を終えてからちょうど一年だ。…