夜の太陽に照らされてひとり歩く

白夜の空の様子があまりに魅力的だったので、23時過ぎから再びJuutua川(Juutuanjoki/Juvduujuuhâ)の上流へ向かうことにした。夜の太陽に照らされて、静寂の中をたった一人で歩く。途中、灰色がかった白い毛の野うさぎの姿を目にした以外、誰にも出会うことはなかった。 Jäniskoski、0時。地平近くまで傾いた深夜の太陽に照らされて、木々がほのかに赤く染まっている。 岩の上でしばしただただ空の変化を眺めていた。 Inarijärvi/Aanaarjävri、午前1時。 夜の太陽に照らされたこの地の自然は、ひたすら静謐で、神秘的で、まるでこの世ではないような感覚に陥る。…

Juutuan Polku

Juutua川沿いのハイキングルート(Juutuan Polku)は約6.4km。聞こえてくるのは、Juutua川が流れる音と鳥たちの声だけ。古代からずっと変わらぬ眺めと気配が残っているような、神秘的で、不思議な場所だ。歩いているだけで心身が癒えていき、エネルギーが補給されて、いくらでも歩けそうな気がする。 この光。ずっとここにいたくなる。…

Jäniskoski

今日は晴れ。気温は低いが、気持ちのいい天気だ。昨夜途中まで歩いたJuutua川(Juutuanjoki/Juvduujuuhâ)の周辺をめぐるハイキングルートをさらに進んで、Jäniskoski/Njuámmilcooskâsと名付けられた急流へ。今年は一気に雪解けが進んだそうで、川の水量が凄まじい。急流の上に架けられた橋を渡るのも怖気付くほどの流れの激しさだ。 フィンランドの作曲家ヘイノ・カスキ(Heino Kaski: 1885 - 1957)の作品の中に、館野泉氏によって『激流』と訳されたピアノ曲がある。原題は『Pankakoski』で、彼の出身地であるカレリア地方リエクサ(Lieksa)にある急流を描いた楽曲だと思われるが、Jäniskoskiを眺めているうちに、10代の頃繰り返し演奏したこの楽曲が頭の中で流れ始めた。…

Inariにて白夜を初めて体験する

ここでは夏の間は太陽が沈むことがない。何時になっても空が明るいので、夜が来た実感がなく、不思議な気分になる。23時を過ぎていたけれど、ホテルのすぐそばを流れているJuutua川(Juutuanjoki/Juvduujuuhâ)周辺をめぐるハイキングコースを歩いてみることにした。気温は5℃。歩いていると手が冷える。…

Inari

朝早いフライトだったので、イナリに到着したのは11時前だった。予想よりもさらに気温は低く、思っていたとおりどこもかしこも広々としていて静かだ。早速ホテルにチェックインし、サーミ博物館SIIDA内のレストランSarritでのんびりランチを食べた後は、まずイナリ湖の周辺を散策。湖の上は雲が近い。そして、これまで見たことのないような幅の広い大きな虹が現れていた。…

サーミランドに到着

虹の輪(ブロッケン現象)に守られて空を飛び、いよいよサーミランドに到着した。 イヴァロ空港からイナリへ向かうシャトルバスの運転手さんがイヴァロ出身・在住とのことだったので、昨日ヘルシンキ空港のカフェでイヴァロ出身の女性スタッフに会ったことを話すと、「それは〇〇だよ、息子の友達だ」と言われた。そして、イヴァロは人口4000人ほどの町で、住民はお互いの名や顔をよく知っていると話してくれた。 また、この運転手さんはイヴァロでタクシー会社を経営している方だった。おかげで、再来週に必要なイヴァロのホテルから空港までのタクシーを確保することもできた。もらった名刺を見たら、事前に調べて予約しようと思っていたタクシー会社だった。…

幸先のいい旅のはじまり

ヘルシンキ空港に来るといつも立ち寄るカフェで、いつものKorvapuusti。オーダーをとってくれたスタッフの女性にどこから来たのかと尋ねられ、今日プラハからヘルシンキに到着し、明朝イヴァロへ向かうと答えると、彼女はイヴァロ出身で、とてもいい季節だと話してくれた。幸先のいい始まり。…

出会いがもたらす未知なる扉

ウツヨキ滞在中にトレッキングのガイドをお願いしている方がとても親切で、他にも、現地の歴史や生活を学べるツアーを提案してくださったり、私の身長にあう自転車を見つけてきてくださったり(しかも他よりずっと安価で)と、既にいろいろお世話になっている。彼の地を訪れるのが楽しみなのは勿論のこと、彼女にお会いすることも楽しみになってきた。 自分一人で地図を見て歩いて回ることもできるけれど、ツンドラの荒野が広がるあの地で、徒歩で見たり知ったりできることなどごく僅かだろう。やはり現地の、それもご家族が代々サーミのトナカイ飼いだという方にガイドを依頼して正解だったと感じる。現地の歴史や生活について話を聞くことができるだけでなく、自力では到底見つけられなかっただろう登山道を案内してもらえることになった。 ウツヨキは、住民の約半数がサーミ語を母語とし(公用語もフィンランド語と北サーミ語)、サーミ人が多数を占めるフィンランドで唯一の自治体というだけあって、提案してもらった山(実際には"mountain"ではなく"fell"と呼ばれる)の名称はどれもサーミ語で、Googleマップでは見つけることができなかった…