昨年からオーケストラの定期演奏会のパンフレットの表紙絵を依頼してくれている友人から、次の演奏会に向けて新たに絵の依頼を受けた。彼は音楽、わたしは絵画、創作を通じてこんな風に関わり合うことができるのはとても嬉しい。出逢った頃には、彼と自分がこんな風に繋がれるなど想像もしていなかった。
今回のテーマであるシベリウスの交響曲第5番は、フィンランド政府の国家的行事として計画された彼の50歳の誕生日祝賀コンサートに向けて作曲され、計画通り1915年12月8日に初演されたそうだ。第一楽章のはじまりから、澄んだ朝の光と晴れ渡る空を思わせる、清々しくも精妙な気配を感じる。
彼がこの交響曲に取り組んでいた間に残した日記を少し読んでみた。
1915年4月15日、フィンランド、アイノラ
夕方、この曲に取り組む。主題の配置。この神秘と魅惑への重要な取り込み。まるで、父なる神が天の階からモザイクのピースを投げ落とし、その絵がかつてどのように見えたかを解くよう私に求めたかのようだ。
1915年4月21日、フィンランド、アイノラ
10時から11時にかけて、私は16羽の白鳥を見た。私にとって最も素晴らしい経験のひとつだ!なんと美しいことことか!彼らは長い間、私の頭上を旋回していた。そして輝く銀のリボンのように、太陽の霞の中に消えていった。その音はまるで木管楽器のようで、鶴の音に似ているが、トレモロはない。白鳥の声はトランペットに近く、明らかにサリュソフォンの音色を想起させる。小さな子供の泣き声のような低いリフレイン。自然の神秘性と人生の悲哀!交響曲第5番のフィナーレ。
この交響曲を聴きはじめてすぐに浮かんだ情景、その気配や光、色調は、シベリウス本人が日記に残した記録に近い。わたしのイメージはどうやらあっているようだ。1月に訪れたヤルヴェンパー(Järvenpää)は、シベリウスが1904年から生涯を終える1957年まで暮らした地だ。彼が白鳥を見たであろうトゥースラ湖の風景を思い出す。わたしもまた、天から投げられたモザイクのピースを組み合わせるように描いていこう。