夢に出てきたFujitaという名と小野篁

夢に出てきたFujitaという名と小野篁

夢の中でわたしはまた旅先にいて、夢の中だけの知人の家に宿泊していた。周囲には彼の家族や、わたしの同行者らしい人物もいた。古い木造家屋の縁側から見える景色は美しく、わたしは「またここへ来たい、次は春に来れたらいいな」というようなことを言った。すると家の主の男性は少し驚いた様子で嬉しそうにこちらを見上げた。

わたしは彼に「ここで生まれ育ったのか」と尋ねた。彼は「生まれたのはここだが、ここから2州分北にあるFujitaという地で育った」と答えた。すると、宙に浮かぶホログラムのように地図が現れ、おそらく北アメリカと思われるあたりにFujitaという地名を検索、発見していた。それと同時に埼玉県あたりのイメージが浮かび、わたしは「多分そこは以前訪れたことがある」と思っていた。

家主が「このあたりにはオオカミがいる」というようなことを言い、わたしは「知っています、夜にオオカミの声が聞こえたし、わたしが住んでいるところにも野生のオオカミがいるので気配がわかります」と話すと、彼はまた少し驚いた様子で嬉しそうにこちらを見ていた。

夢にFujitaという名が現れたのは初めてだ。しかし、藤田はわたしの母方の祖母の家系の姓でもある。藤田姓について調べたところ「藤田氏は小野篁の裔である武蔵七党・猪俣党の出で、藤田政行が藤田郷に拠って藤田五郎と名乗ったのがはじまり」とあった。

わたしの先祖が直接この藤田氏に繋がっているとは思わないが、ここで小野篁の名が出てきたのはおもしろい。というのも、昨夜本当に久しぶりに短歌がぽっと頭に浮かんだのでそれを書き留め、もう少しきちんと短歌を学んで練習してみようかなどと思っていたからだ。

小野篁といえば、昼間は朝廷に出仕し、夜は冥府に通って閻魔庁で裁判の補佐をしていたという伝説がある。京都、六道の辻にある六道珍皇寺には、小野篁が冥府との往来に使ったといわれる井戸が残っている。つまり小野篁は、あの世とこの世を自由に行き来するヘルメスのような人物だったというわけだ。

わたしは以前に六道の辻からそう遠くない場所に住んでいたことがある。当時は六道珍皇寺の少し南にあるスーパーマーケットに行く際に、六道の辻をよく通った。京都にはこうした‘異界との境’があちこちに残っていることを久しぶりに思い出した。

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