感情についての対話

感情についての対話

今日はパートナーと感情について話した。

彼は、感情とは基本的に自分が有する思考に基づく反応であり、反応は自らで選べると語った。実際に彼は、たとえば自分の中に怒りを自覚した時には、そのエネルギーを仕事に投入するそうだ。そうすると、結果的によく集中できて、良い成果が出せるのだと言う。

彼は、そのような自らの感情の扱い方を「コントロール」と言ったが、わたしにはそれはコントロールというよりも、「自己同一化しない術」だと思えた。自らの感情を自覚している時点で、彼は感情と自分を混同していない。だから彼は、感情というエネルギーをその時々の自分にとって活かせる方向性と行動を選択することができるのだろう。

彼が、他者や出来事など、自らの外側にあるものに対して感情的になることは稀だ。そういう意味で、彼は感情的に安定している(本人は「感情が薄い」と言っていたが、そういうことではないだろう)。それは、彼の中にある自他の境界線が明確で、自己投影や自己同一化が少ないからではないかと思う。

彼はまた、どんな感情もそう長くは持続はしない、もし持続するとしたら、それは自分がその感情を掴んでいたいからだ、とも言っていた。そうした彼の受け止め方は、感情とは肉体(心)の反応が起こす波のようなもので無理に押しとどめなければやがて去っていくという、わたしの感覚に似ている。

彼とそんな話をしながら、わたしもまた他者の存在や出来事によって感情を揺さぶられることがすっかり減ったことを実感した。もしも、誰かや何かに対して感情が激しく動いたら、それはわたしの中に無自覚な思いこみや「おはなし」への執着があるということだ。そういう意味で、感情はサインでもある。

敢えて外側に反応しないよう努めたわけではなく、気づいたら反応しなくなっていた。他者の「おはなし」に反応しなくなったのも同じだ。わたしの中の自他境界線はより明確になり、自分の肉体がもたらす感情にはより繊細になった。おそらく、わたしの中にあった無自覚な否定や抑圧がなくなったのだろう。

自らの影を認めると、無自覚に他者に投影していた感情が自分のものになる。気づかないまま否定され抑圧されていた感情エネルギーが、自らの力として活きてくる。そうすると、他者や何かへの感情移入は自然と消えていく。

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