別れようと屈託なく伝える夢

夢の中で、わたしは知らない部屋の真ん中に置かれたベッドで眠っていた。わたしは長い旅から戻ったばかりでとても疲れており、一日中眠るつもりだった。しかし、突然たくさんの人が部屋に入ってきて、列を作って座りはじめた。どうやらみな若い学生たちのようだった。中には教師らしい大人の姿もあった。人々はみなベッドで眠っているわたしのことを訝しげな目で見ていた。 そうするうちに、スーツを身に着けたわたしの元夫が現れ、ぎっしりと肩を並べて座った人々の前に置かれたホワイトボードに数式のようなものを書きはじめた。そこでわたしは、今から何か講義らしきものが始まるらしいことを察した。わたしは、布団の中でしばらく迷った挙句、ベッドから出て、人々をかき分けるように歩いて部屋の外へ出た。せめてパジャマ(オレンジ色だった)を身に着けていたから、ベッドから出ることができて良かったと思っていた。 ドアを出たところには、わたしの母が使っていた着物箪笥に似た箪笥が3つ並んでいた。わたしは、外へ出るために着替えようと思い引き出しを開けたが、服は見つからなかった。磨りガラスがはめこまれた扉の向こう側に、ホワイトボードに長い数式を…

大きな川を上る夢、ボルヘス、アルゼンチンからのメッセージ

ゆったりと流れる大きな川の夢を見た。ヴルタヴァ川に似ていたけれど、どこにもない川のようだった。わたしは街から上流へと川沿いに移動していた。途中、川の両側に大きな岩場が切り立つ場所があり、わたしは川の真ん中から向こう側を眺めてその光景に感嘆していた。確か写真を撮っていたように思う。 上流に向かっても川は大きくて、たっぷりの水が滔々と流れていた。どんどん上流に向かうと小さな町が見えてきた。建物の様子や風景はやはりチェコのそれらに似ていた。わたしは、川の上に架かる橋に隣接された駅のようなところへ向かい、建物の中へ入った。そこから先は覚えていない。 この夢を見たあと、ホルヘ・ルイス・ボルヘス『詩法(The Art of Poetry)』の言葉を思い返していた。ピンホール写真を通して知り合ったアルゼンチンの画家から「以前から言っているように、君は夢の本を書くべきだよ。」というメッセージが届いた。…

巨大な飛行船と美しい人

今朝方見た夢の中で、わたしはアニメに出てくるような巨大な飛行船の中にいた。大きな窓の向こうには、巨大な羽根のようなものが見えていて、わたしは、そばにいた人に「あれはプロペラなの?」と尋ねていた。その飛行船のような乗り物の中は広々としていて、とても居心地が良かった。 そばにいたのは見たことのない男性だったが、夢の中では昔から知っている人のようだった。現実に存在していてもおかしくないようでいて、映像のようにも感じられる美しい人で、髪も肌も身に纏っているものもすべてが茶色~ベージュ色だった。彼のそばにいるのは本当に心地よくて、わたしはすっかり安らいでいた。…

魚屋でホタテを買う夢、垂直に上昇する飛行機の夢

小さな古い魚屋の軒先で、大きな殻付きのホタテが売られていた夢の中のシーンが印象に残っている。そこはアジアの片田舎のような場所で、ゆったりと流れる川に沿った道にぽつんと魚屋が建っていた。わたしは、せっせと働いている中年女性にまだホタテはあるかと尋ね、6つ、7つか、いや、9つくださいと言った。 同じ夢だったか、それとも別の夢だったかは覚えていないが、わたしは水陸両用の乗り物に乗っていた。建物の中にある木造階段を勢いよく下って、そのまま外へとダイブし、目の前を流れていた大きな川に滑らかに着水した。 別の夢では、わたしは大きな飛行機が離陸するのをすぐ近くで眺めていた。飛行機はこちらに向かって離陸した後、真っ直ぐ上に向かって垂直に飛んで行った。巨大な飛行機の腹が頭上でぐいっと上向きに転換し、勢いよく上昇していった様子を覚えている。…

鳩尾に太い管がついた夢

また夢の中で身体を改造された。今回は、鳩尾のあたりに太い管が装着されていた。人工皮膚で覆われた管は一部が蛇腹になっていて、腹から突き出てすぐ垂直に曲がり、煙突のように上に向かって伸びていた。管が出ているあたりの皮膚に引き攣れるような感覚はあったけれど、痛みや不安はまったくなかった。 わたしは、病院の診察室と手術室があわさったような広くて明るい空間で、白衣を身に着けた男性から術後の最終処置を受けていた。その後、どのように場面が切り替わったかは忘れてしまったが、次に覚えているのは、大きな公衆浴場かプールの更衣室に似た空間でのシーンだ。わたしは、ロッカーにしまってあった服に着替えようとしていた。そこで、鳩尾から管が出ているため、そこにある服はどれも着用できないことに気づいた。そして「管があっても着られる服を買わなきゃ」と思っていた。周囲には様々な年齢の女性が素っ裸でうろうろしていて、時折むっとするような体臭が漂ってきた。 この場面の前か後かは覚えていないが、わたしは、何かの舞台のリハーサルに参加するため、現場へ向かう支度をしていた。公共施設の給湯室のような場所で、わたしは朝食用の紅茶を淹…

火事を目撃する夢と、前歯の部品が外れる夢

今日もずっと雨が降ったりやんだりで肌寒い一日。満月・月食だったからか眠くて仕方なく、朝食を食べたらまた眠ってしまった。丸一日眠って、印象的な夢をたくさん見た。 覚えているのは火事の夢だ。わたしは、生前の祖父母と共に暮らしていた立て替え前の古い実家の2階にいた。母の部屋の窓から、近所の家屋が燃えているのが見えた。白い煙が隙間から入りこんできたので、すべての窓をきっちり閉め直した。背後にいる母に注意を促してはいたが、わたしも彼女もそう慌ててはいなかった。 その後には、前歯の一部がぽろっと外れる夢を見た気がする。歯が抜けたのではなく、歯に取り外し可能な金属部品がついていて、それが不意に外れたような感じだった。実際には、わたしの前歯には小さな治療跡はあるけれど、外れてしまうような部分はない。…

教室、コンピューター、祖母の枕元にあったボストンバッグ

月曜日は見事な晴天で気温もぐんと上がったけれど、昨日今日と、曇りと雨が続いて肌寒い。年々旱魃が悪化しているので、雨が降るのはいいことだ。しかし、天気のせいかとにかく眠い。 昨夜は夢の中で学校のような場所にいた。わたしはどうやら途中参加者のようで、売店で必要なものを買い揃えていた。教室に入ると、各机の上に見たことのないコンピューターが設置されていた。スタートボタンを押そうとしたら、教師がやってきて「まずはわたしがセッティングします」と言いながらわたしの手を遮った。 その後に見た夢の中では、わたしは祖父母(彼らは既に他界した)と暮らしていた当時の古い実家にいた。確か、わたしは台所で洗い物や片付けをしていた。襖越しに祖父母が寝ている部屋の様子が見えた。眠っている祖母(顔は見えなかった)の枕元には荷物が詰め込まれたボストンバッグがあり、わたしは「ああ、彼女はここを出ていくんだな」と思っていた。…

水辺の記憶

夢の中で、わたしは湖か大きな池のそばに暮らしていた。初夏の夕暮れ時で、水辺を囲む雑木林からは土と草木の匂いが色濃く漂っていた。わたしは近所に住む外国から来たカップルに「あそこと、あそこに、居心地のいいカフェがある」などと話していた。あたりは仄暗く、静かで、心地よかった。 カラーとモノクロームのあわいのような夢の景色や、匂い、感触を思い返していると、様々な記憶が蘇る。過去にどこかで味わった草むらの感触、木の葉の下で揺れる光と影、水や土や草木の香り。もしくは、誰かの写真や物語を通して見た風景。いくつもの記憶が蘇っては混ざり合う。そうして豊かな混沌となり、やがてふと新たな景色として現れる。それが、夢か現かはどうでもいい。すべてはわたしの中から生まれる物語なのだから。…