陰謀論は個人の内的な不満や怒りと共振しやすい
ロシアによるウクライナ侵攻後、自分の友人や知人がロシア政府系メディアが発信する情報を鵜呑みにし、陰謀論ともいえる情報をSNS上に投稿しはじめたことに、少しショックを受けていた。 とはいえ、わたし自身も以前はロシア政府が発信するプロパガンダや意図的に嘘が織り込まれた情報をすっかり信じていたので、それらがいかに広く深く浸透しているかはよくわかる。 実のところ、わたしは割と最近まで、自分が事実だと思っていた情報についてチェコやロシア出身の人たちから「それはロシア政府のプロパガンダだよ」と言われても、納得できないことが何度もあった。 わたしが自分が知っている情報を疑い始めたのは、ロシアの野党指導者ナヴァルニー氏の毒殺未遂事件と、チェコで起きたヴルビェティツェ弾薬庫爆発事件にロシアの特殊部隊が関与していたというニュース(チェコ政府はこの事件にロシア連邦軍参謀本部情報総局の特殊部隊29155部隊が関与した証拠があるとしてロシアの外交官18人に国外退去を命じた)を目にしてからだった。 それからわたしは、ロシアと中東欧諸国の歴史を調べはじめ、現地で生まれ育った人々から話を聞き、各国のメディアが…