今日は海の向こうにモン・サン=ミシェルがはっきりと見えていた。
まだ東京に住んでいた頃、仕事帰りの地下鉄で見た白昼夢のようなビジョンを今でもよく覚えている。それは美しい海だった。私は足首まで海水に浸かり、遠くの対岸に建つ特徴的な建物のシルエットを眺めていた。そして、そこには懐かしい人がわたしを待っていると感じていた。わたしは白いリネンかコットンのシンプルなワンピースを着ているようだった。水の感触は心地よく、不思議と懐かしい光景だった。
後で調べてみると、ビジョンの中で眺めていた遠くに浮かぶ建物は、モン・サン=ミシェルによく似ていた。
あれは、いつかの過去かもしれないし、あるいは未来を垣間見ていたのかもしれない。