2020‐08‐06 母を看取った後の日記

人は死んで肉体を離れた後、生きていた時よりもずっと色濃くその気配を漂わせる。日中ふと齎された静かな時間に撮った写真の中に母の気配を感じた。彼女のエッセンスは今や世界のあらゆるものに含まれている。

祖父母が亡くなった後も同じように感じたのを思い出した。自分と彼らとが肉体をして個別に分かたれていた時よりも、彼らの肉体が消滅した後の方が、彼らのエッセンスをよりはっきりと感じる。彼らは、わたしの中に存在しているし(思い出の中にという意味ではない)、この世界のあらゆるところに遍在している。

子どもの頃からこの感覚は変わらない。
だからわたしは、身近な人が死んだ後も喪失感や悲しみを感じないのだろう。