Facebookで意外な人が投稿していたタロットの「力」のカードに思わず反応したのは数日前のこと。マルセイユタロットにおいて「力」は11番目のカードだが、これは「10. 運命の輪(=物質的世界の完成と限界)」までの意識や価値観をひっくり返していく始まり。
わたしたちは「10. 運命の輪」までの世界=固形物としての自分と形ある世界がすべてだと思いこんで生きているが、実際は、その外側にこそはるかに広大な自分/世界がある。「11. 力」以降に描かれているのは、そのことに気づいていくプロセスだ。
「11. 力」のカードは意志を象徴すると言われる。それは、このカードが、無自覚な自己同一化(自分不在の状態)からの目覚め、肉体を含む物理的環境の付属品状態からの脱出を示唆しているからだ。 物質、思考、感情といったあらゆる印象との自己同一化を脱して独立するには、自分の中の哺乳動物(獅子)を抑えつけるのではなく、しっかりと見る=気づくことが必要だ。
わたしたちは「10. 世界」における充足と停滞を自覚的に破って、その外側にある「11.力」以降のステージへと移行する必要がある。多様な受容性を利用した前代未聞の感染力を有する新型ウイルスは、そうしたわたしたちの破壊と再生の手助けをしているだけだ。
「以前のように」とか「元通りに」といった都合は、自然な動的平衡に逆らおうとする。そうしてダメージを食らう。信念も気真面目さも、自我の思いと情動(とその機械的反復)への執着でしかない。相手が変わるのを待つのではなく自分が変わる。外部からの影響を受ける前に、自分の意識と行動を変える。これは何においても同じことだ。