習慣を捨て、行動し、自分を動かすプログラムを書き換えていくこと

この木葉功一さんの一連のツイートを読んで思い出したのは、12月にジャーナリストの伊藤千尋さんと話したことだ。それは、自ら行動し、慣れた環境と状態を捨てて変化を起こした人を見て、「すごい!」等と感化され、「わたしも行動しよう!」と思っても、結局は行動しないまま元の状態に留まる人の方が多いという話だ。

わたしが日本での仕事と生活を全放棄したのも、木葉さんのツイートに書いてあるように、何度も体を壊しつづけた挙句、猛烈な虚しさに襲われてどうにもならなくなったからだった。その後すぐ、それまでの自分には想像もできなかった展開に運ばれて、わたしは日本を飛び出した。それは、わたしが「元の習慣・状態には戻らない」ことを徹底したところにやってきた流れだった。

以前とはまったく異なる日々を生きはじめたわたしの元に、「話を聞きたい」という人が何人もやってきた。わたしは、その人たちも変化を起こしたいのだと思い、「自分に嘘をつかず、少しでも違和感のあることはやらない。思いこみと不安に基づいた習慣を捨てる。」という、自分が実行したことを話した。

話を聞きに来た人たちは、わたしの言葉と行動に共感し、気持ちの上では盛り上がっているように見えた。しかし、結局はみな、すぐに元の習慣と状態へ戻っていった。そんな様子を見てきたから、木葉さんが書いた「形状記憶合金のように早くも自分を騙し出す」という言葉はよくわかる。

元の状態へ戻っていった人たちは、それまでの仕事や立場や生活は保持したまま、つまり同じ社会的自我と都合をキープしたまま、目新しい気晴らしを探しているだけだった。そのことがわかってから、わたしは「話を聞かせてほしい」という人と関わるのをやめた。

自分を動かすプログラムを書き換えるには、行動を継続する意志が必要だ。実際にわたしも、毎日ことあるごとに「少しでも違和感のあることはやらない。思いこみと不安に基づいた習慣を捨てる。」こと意識し、徹底し続けた。その書き換え作業は今も続いている。古い習慣を脱し、新たな状態を無意識の習慣として定着させるためには、根気強く、淡々と、行動し続けていくしかない。