無限の断片

肉体はひとところにしか存在できないけれど、わたしはいつでも遍在する。どちらも本当だが、わたしにとっては後者の方がよりリアルだ。夢の世界の方が、現実(と呼ばれる世界)よりもはるかにおもしろいのも同じこと。

地上の一点に過ぎない固形物である肉体と、それによって制限される偏った体験も確かにおもしろいけれど、それは、創作を楽しむことに似ている。「わたし」を超えるわたし本体の方がよりリアルだが、地上ではそれを形にすることはできない。だから、肉体があるうちは、ひたすら再現しつづけていくしかない。創作はいつも一瞬の断片。そもそも「わたし」こそが創作であり、断片だ。