オリオンの三ツ星
日本からの帰り道、アムステルダムからプラハへ向かう飛行機の窓から、まるで手が届きそうなぐらいにはっきりとオリオンが見えていた。風邪の兆候が出ていたので途中で眠ってしまったが、それまでずっと窓枠にもたれて、大きな砂時計の形を描く星々を眺めていた。眠りに落ちる間際、プラハへ戻ったら、アルニタク、アルニラム、ミンタカへ行ってみようと決めた。
数ヶ月前、実家の家紋に描かれている三つの丸が、オリオンの三ツ星であることを知った。祖母、母、わたしと、三代続けて同じ干支のほぼ同日(三月三日、祖母だけは四日)に生まれたので、そうだったかと妙に腑に落ちた。
そして、今朝ふと、わたし、母、祖母の三人を、アルニタク、アルニラム、ミンタカになぞらえて眺めることを思いついた。わたしと母はまだ地球上に肉体をもって存在しているため、物質的な条件に限定されるが、三年前に死んで固形存在でなくなった祖母は非局在だ。まずは、夢の中で祖母にコンタクトしてみよう。