実存と架空の間
友人が書いている小説の中に、わたしと同じ名を持つ人物が登場する。しかも、その人物像やディテールはどことなくわたしに似ている。実際に、友人からも「わたしをモデルにした」と聞いた。物語の中の彼女はかなり奇天烈な人物だけれど、だからこそおもしろい。早く話の続きが読みたいところだ。
他者(の創作)の中で「わたし」の存在が自由に変容していくのはなかなか楽しい。たとえば、誰かがわたしに対して思いもよらぬイメージを抱いていたとしても、「そういう風に見えるのか」と思うだけで、嫌な気分にはあまりならない。むしろ、変幻自在な謎キャラクター、実存と架空の間ぐらいでいられた方が自由でおもしろい。以前に「プリンスみたいに謎な記号を名称として使って匿名になりたい」と思っていたこともあった。