昨日見た夢の中で、わたしは昔の日本または台湾に似た田舎町にいた。まばらに並んだ古い家屋や建物の中に、煤けたコンクリート壁の上部に桃の絵が描かれた商店があった。
軒先では、老夫婦が野菜や食品などを並べていた。確か、猫もいたような気がする。せっせと動き回っていた老男性は「商売が苦手な’先生’(どうやら女性らしい)が販売しやすいように」と店の準備をしていた。
店は老夫婦のもので、’先生’と呼ばれる女性は、金儲けでなく何か別の目的のために、その店で売り子の真似事をしているようだった。’先生’の働きによる売上は無いに等しく、むしろ、彼女がやりやすいよう店支度するので、店には赤字が出るようだったが、老夫婦は他にも収入があるのかまったく気にしていなかった。
外壁に描かれた大きな桃の絵と、腰が曲がった小柄な老男性の屈託のない笑顔が印象に残っている。それは、翁の能面を彷彿させる表情だった。