「イタリアが中国から購入したマスクを輸送経由地だったチェコが略奪した」という話が出回っているのをSNSで目にしたが、これは事実とは異なる流言だ。調べてみたところ、どうやらイタリアのLa Repubblica誌が書いた記事が流布の元らしい。
当時、チェコでは大量購入したマスクを高値で売り捌く人たちがいたため、中国から届いたマスクについても税関で捜査が行われていた。その中で、それらがイタリアの中国人コミュニティ宛だと気づいたチェコ政府は、すぐに取り違えについてイタリア政府に正式に謝罪し、マスクの数を上乗せしてイタリアへ発送した。これが事実。
この件に関するチェコの内務大臣のインタビュー記事の冒頭には、「戦時中には真実こそが最初の犠牲者だと言われるが」と書いてある。実際、全世界が大変な状況となっている今は、戦時中と同様に、事実とは異なる情報もたくさん出回っているだろう。感情を過剰に煽り立てるニュースも多いし、部分的に抜き取られた情報が歪んだ形で伝わることもありそうだ。
チェコと台湾が防疫(医療用資材の提供だけでなく、医療機器の技術移管や抗ウイルス薬の開発・製造なども含む)に関して公式に協力しあうことを早々に発表したのは、今後起きる可能性がある奪い合いや、奪った奪われたという争いや誤解を避けるためというのもあるのかもしれない。