やがて風に還る

がらんとした昼間の電車に揺られながら、窓の向こうの風にそよぐ木々や草花を眺めていると、さくらも、母も、あの友人も、あの知人も、みんな風に還っていったのだなと思う。

悠久に巡りつづけるあの風。

形ある個体としてめぐり逢い、共に過ごした僅かな時間は、必然であると同時に、またとない奇跡でもあった。