ある人との対話の中で語った、冥王星の移動から見る地上世界の情勢変移が割とうまくまとまったので、ここにも書いておく。
冥王星という、西洋占星術に用いられる主要な天体の中で太陽から最も遠い惑星が、昨年から今年にかけて、星座間を行ったり来たりしながら次のサインへ移動しようとしています。冥王星は、短期的な移ろいとは異なる、根本からの変容と徹底を象徴します(時間をかけて成される根源的な破壊と再生の象徴)。
冥王星は2008年から山羊座を進行していました。現在は、山羊座と水瓶座を行ったり来たりしながら、いよいよ本格的に水瓶座へ移動していきます。今は、これまで約16年ほど続いた時代が終わりを迎え、次の約20年間へと移行する時代の節目です。
特に昨年と今年は、「過去15~6年の間に起きた根本的な変容と刷新の中で、未だ解消されずに残っているが、これから先には不要なもの/そぐわないもの」がいよいよ破綻・終焉を迎える時期です。
長く続いた既得権益や、歴史的経緯や慣習によって守られてきたこと、閉ざした風通しの悪い仕組みには、刷新せざるを得ない機会が押し寄せるでしょう。過去の経験や習慣にこだわる態度は行き詰まるでしょうし、古い信念と執着は打ちのめされ、力を持つ強いリーダーによる権威主義も通用しなくなると思います。
これから始まる約20年は、現状に見られるあらゆる「壁」や「枠」が崩れて、流動性が高くなる時代といえます。個々の肩書や立場、企業や組織、さらには国の壁や差も崩れていくでしょう。通信や物流だけでなく、経済も、政治も、個々の生き方も、風通しよく、より独立的・独創的で、対等なものへと作り変えていくための破壊と刷新が始まっていきます。個人のみならず、組織や国同士の関係においても、より自立した平等な姿勢と公共性の高さが求められていくでしょう。
※ わたしは、占星術とは、未来をぴたりと言い当てるとか、吉凶を見るためのものではないと思っている。ましてや、個々の都合に合わせて解釈するものでもない。それは、言ってみれば時計のようなものだ。古代の人々が恒星や惑星の動きから天候や災害を読み解いたように、空に見て取れることは、同時に地上でも起きるということだ。そうして、個の都合や執着から脱し、より大きな視野で自他を超える世界を見通すための知恵だと思っている。