夢で父方の祖父母に会った。わたしたちは、祖母が生前に営んでいた喫茶店にいた。現実にはその喫茶店は祖母の死後に土地ごと売却したので、今はもう跡形もない。40年近く前に自死した祖父がわたしの夢に現れたのは、確かこれが3回目だ。前回は20年ほど前、叔父が突然死したすぐ後のことだった。
夢の中の祖父はテーブルで何かを食べていた。彼は肌ツヤがよく、ニコニコしていて元気そうだった。わたしは夢の中で彼がとうの昔に死んだことをわかっていたので、彼がそこにいることに驚き、「あれ、久しぶり、元気そうだね」というような感じで声をかけていた。彼は何も話さなかったように思う。
別のテーブルにスーツを着た若い背の高い男性客がいて、わたしは彼の席へコーヒーを運んだ。何があったかは覚えていないが、わたしは彼に対して怒っており、席には座らずに立っている彼の顔にコーヒーをぶち撒け、激しく非難していた。わたし自身もコーヒーの飛沫を被った。彼は何も言わずに微笑んでいた。
その後、彼は出ていったのかどうか覚えていないが、わたしはテーブルや座席や床にこぼれたコーヒーを拭き取った。座席には点々と小さなシミが残った。背後の席にいた祖母にそのことを謝ったところ、彼女は気にしなくていいというようなことを言った。祖母はそこにいたはずだが、姿は見えなかった。
思い返すと、叔父もその場にいた気がする。しかし、やはり姿は見えなかった。母や母方の祖父母が夢に現れる時もそうだが、基本的に既に死んだ家族は夢の中ではいつも姿が見えない。しかし、確かに彼らだということははっきりとわかる。
父方の祖父が初めて現れた約20年前の夢は、今でもよく覚えている。わたしは祖母と共に墓参りに出かけていた。そこは墓地ではなく洞窟のような場所だった。洞窟を抜けた辺りで祖父の顔が液晶画面に映し出された。彼は元気そうに微笑んでいた。目が覚めた後、わたしは「祖父はようやく成仏したのかな」と思った。
母が亡くなる前の数ヶ月間は、母方の祖母が通常より頻繁に夢に現れたのもよく覚えている。父方の祖父母、特に祖父が夢に現れるのは珍しい。現在施設に入居している父は、寝たきり状態で認知症もかなり進行していると、彼の後見人から聞いている。もしかすると、そう遠くないうちに彼の状態に何かしら変化が起きるのかもしれない。