赤ちゃんと塗り絵本
夢の話。
がらんとした広い床張りの部屋で、わたしはカウンターに向かって作業をしていた。わたしの後ろでは、従妹が笑いながら紐のついた金属製の何かを振り回していて、それがわたしの脚に当たった。従妹は実際とは違って、5~6歳の少女だった。
わたしは彼女の手から紐がついた金属製のモノを奪い取り、彼女を押し倒した。そして、彼女の右腕を踏みつけ、「それをやれば相手を痛めつけたり壊したりするとわかっていながら行為に移したというその挙動をわたしはゆるさない」と淡々と語った。ドアの向こうから伯父(従妹の父親)が髭を剃りながらやってきた。彼はわたしたちの様子を見ていたが、何も言わなかった。
部屋の中央辺りに敷かれたマットの上で布にくるまれて寝ていた赤ちゃんが、目を覚まして動きはじめた。わたしは赤ちゃんのそばへ行き、彼あるいは彼女の身体を支えて柔らかいマットの上へ戻してやった。赤ちゃんは機嫌良さそうに笑っていた。彼あるいは彼女は、わたしの母が産んだわけではないが、“母の”赤ちゃんだった。
わたしは最初にいたカウンターとは反対側に置かれた座卓の周囲に散らばっていたものを整頓しはじめた。その中に2冊の塗り絵本があった。いずれも子ども向けの簡単なものではなく、手の込んだ芸術性の高いものだった。そこへ従妹が近寄ってきて、2冊ある塗り絵本のうちの1冊が欲しいと言いはじめた。
わたしには必要のないものだったので、わたしはそれを彼女にあげることにした。その2冊の塗り絵本はどうやら服飾作家である古い知人から貰ったもののようだった。わたしは200色以上ある色鉛筆のセットも持っていて、従妹が希望するなら貸してもいいと思っていた。