父について

父について

先日メールで連絡をもらった父の後見人に、電話でわたしの現在の事情を説明したところ、すんなり理解してくださった。

父は寝たきりになり、認知症がかなり進行しているため意思の疎通が困難で、唐突に「女を呼べ!」等と言ったりしているらしいが(ケアワーカーの方々がうまく対応してくださっているそうだ)、以前よりも気性は穏やかになったと聞いた。彼は昔から常に、金があれば酒を飲み、女性相手に散財するかギャンブルに費やしては借金を重ねて逃げてきたので、現在の彼の様子を聞いても驚きはない。

わたしは何も対応する必要はないと聞いてほっとした。今後も彼に何か変化があれば、後見人から連絡が入ることになっているが、彼が死ぬまでわたしは何もしなくてもいいようだ。わたしはもう彼に関わるつもりはないので、そう確認できてよかった。後見人役を担ってくださっている方ははきはきとした明るい女性で、彼女との対話はいつもわかりやすく、快適で安心できる。

父は結局最後まで、自分に向き合うことも、自分を引き受けることもなく、自分が創り出している現実からも目を背け、逃避しつづけて、今に至るのだなと改めて思う。わたしの家族・親族には、精神疾患を長く患うケースと、早くから認知症が進行するケースが割と多く、現れ方は多少違えど根本には同じパターンがあるのを感じている。そして、母方父方いずれの家系にも、虐待と依存の連鎖がはっきりとある。わたしはそれを感じとっていたからこそ、18歳で家を離れた後はこの街に戻ることはなく、物理的にも精神的にもより遠くへと移動し移行してきたのだった。

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