夢中人

だんだんと日が暮れて、空が珊瑚色に染まったあと、世界がゆっくりと深い藍色に包まれていった。心地よい風が通り抜けて、たくさんの光がちらちらと揺れていた。

今回の日本滞在最後の夜は心がじんわり溶けていくような優しい時間となった。ホテルに辿り着いてから振り返ると、思わず涙ぐんでしまいそうになるほどいい時間だった。まるでずっと昔にどこかで共にいたのではとすら感じる人との、新しくも懐かしい出会い、そして共振。この時、眺め、感覚を、いつか思い出す日が来るだろう。

ずっとずっと夢を見ているようだ。そう感じられるほどすべてが静かで美しかった。生きながら瞬間ごとに死んでいると感じ、こちらとあちらは違うようで同じだった。形あるもの、形なきもの。やっぱりきっとすべてが夢なんだろう。