夜の海を見に行く夢と更衣室の夢
深夜の海を見に出かけた。海へと続く石畳の路地にある小さなカフェが無人で営業していて、好きな飲み物や菓子などを無料でテイクアウトすることができた。わたしはココアのような飲み物をカップに入れ、マカロンのような小さな菓子を器に取り、アブサンのような酒を小さなグラスに注いで持ち出した。
開け放たれたカフェの四角い窓から外の様子を眺めていた場面が印象に残っている。薄い青緑色の塗料が少し剥がれかけている古い木の枠がついた横長の窓だった。夜の海は真っ暗だったが、わたしたちと同じように散歩をしている人たちもいた。パトロールをする警察らしき人々もいた。日の出が近づき空が明るくなった頃、帰路に着いた。
飲み物や菓子を無料で提供してくれたカフェにせめてチップを置きたくなり、帰り道にまた立ち寄った。中にはまだ誰もいなかったので、少し考えた後、菓子が載せられている大きな皿の下にいくつかのコインを忍ばせておくことにした。路地を抜けて開けた場所に着くと、既に人々の活動が始まっていた。
わたしは草に覆われた急勾配の道を登ろうとしたが、一緒にいた人は少し離れたところにある舗装された緩やかな道を行きたそうだった。彼は足に怪我をしたようで、足が腫れていて靴がちゃんと履けないようだった。それなら歩きにくいのも仕方ないと理解したあたりで、夢の場面が切り替わった。
その後一度目が覚め、すぐにまた眠りに落ちた。次の夢では、旅先にある大きな更衣室のような空間にいた。旅先だというのにそこには自分専用のロッカーがあり、たくさんの服や靴、サングラスや時計などの小物類が収納されていた。いずれも自分のものだった。
やがて知らない女性たちがやってきた。褐色の肌をした大きな身体を持つ人が多かった。どうやらピンクや黄色やパステルブルーなどカラフルなスリムパンツが人気のようで、彼女たちは揃ってそういう明るい色のパンツを身につけはじめた。わたしはボストンバッグに何着かの服と、サングラス、時計を詰めて、どこかへ向かう支度をした。
だいたいいつもどの夢の中でも旅をしている。先に見た夢の中で訪れた夜明け前の海もやはり旅先だった。旅先なのに、自分専用のロッカーがあったり、いつも滞在する定宿があったり、街のどこに何があるかをよく知っていたり、よく訪れる店があったりする。実際には、どこもまるで知らない場所ばかりだ。