「生き物はね、死んで初めて、用を足すのさ」
「あなたもね、死ぬことで完結するような仕事をしたらいいですよ」
これは、田口ランディさんの短編集『ドリームタイム』に収録されている『肉の花』に登場する宮下のおばあちゃんの台詞だ。十年以上前に読んだこの短編に登場する人物の言葉は強く印象に残るものが多く、わたしの中で何度も繰り返し蘇る。
今日シャワーを浴びている最中にふと、死ぬことで完結するような仕事とは、意図のことではないかと思った。それは、自らの意図を明確に打ち出し、意図を実現するために生きて、意図そのものになること。なぜなら、意図はその人の人生だけでなく死後をも導き、そして、その人が死んだ後にも残って生き続けるからだ。