さくらの健康状態の変化についての考察
さくらの腎臓の状態が急速に回復したことについて改めて思い返していた。
昨年8月に日本で血液検査を受けた際、既に獣医からは腎臓の数値が少しずつ悪化していると言われていた。しかし、加齢によるものだろうという判断で、投薬内容の変更等の提案はなく、その他の治療や食餌の見直しについても何も言われなかった。
昨年10月からチェコで通い始めた近所の獣医より、抗がん剤やステロイド剤は当然ながら体への負担は否めないので、寛解状態が続いているのであれば、一度オンコロジストの診察を受けてみてみはどうかとアドバイスを受けた。そして、紹介された大きな動物病院で検査と診察を受けたのが今年の6月だった。
血液検査の結果、やはり腎臓の数値があまり良くないので、抗がん剤もステロイド剤も減断薬した方がいいだろうという診断を受けた。さらに、そこで初めて、そもそもの治療の発端であった胃腸の炎症の原因は食物アレルギーだった可能性もあるということで、栄養士とともに食餌内容を見直すことになった。
抗がん剤とステロイド剤の減薬は順調に進み、いずれもスムースに断薬に至った。それと同時に食餌の内容と量も大幅に変わった。現在さくらが食べているものは、日本で母や周囲の人たちが与えていたものとは全く違ってかなり健康的と言えるだろう。その効果もあってか、わずか4ヶ月間で腎臓の数値は良い状態に回復した。
さくらは日本にいた頃、たっぷりの白米に、鶏肉と野菜を炊いて片栗粉でとろみをつけたものを毎日食べていた。時には出汁をとった後の煮干しや、人間用に調味された肉類(残り物)が加わることもあったようだ。また、日中はいつも玄関先にいたので、近所の人たちから毎日さまざまなおやつももらっているようだった。
また、さくらはよく人間の食べ物をねだっては分けてもらっていた。わたしは「塩や砂糖で味付けされた人間の食べ物は犬の身体には良くないからあげてはいけない」と何度も注意をしたことがあったが、残念ながら母は「ちょっとだけ」と言って人間の食べ物を分け与えることをやめなかった。
このように書き出してみて改めて思うのは、日本にいた頃のさくらが日常的に食べていたものは、犬の身体にとっては良くないものがかなり多かったのではないかということだ。そして、それが、彼女の肥満の原因であっただけでなく、腎臓や胃腸をはじめとする彼女の内臓に大きな負担になっていたのではないかと思う。
現在わたしたちが獣医と栄養士の指導に基づいて与えている食餌には、当然ながら調味料も、添加物や保存料も一切入っていない。食餌の量は以前よりかなり少ないけれど、さくらは人間の食べ物をねだらなくなった。さくらの体重は3kg以上減った。最近はすっきりしたいい体型になってきたと感じる。また、鶏肉のアレルギーではないかという診断を受けて、タンパク源を他の肉に替えてから、さくらの腸壁はすっかり健康な状態にまで回復した。
チェコで良い獣医と病院にめぐりあえたのは幸運だった。抗がん剤とステロイド剤の断薬という判断を示してくれただけでなく、アレルギーの可能性も含めた食餌内容の見直しを薦めてくれ、その後も常に親身になってさくらの健康を共に考えてアドバイスをしてくれる。彼らには本当に感謝している。