自分の中から「正義」が発生した瞬間、それ以外の部分は影=不正義になる。しかし、本来自分とは影をも含む全体なので、正義も不正義も自分自身だ。だが、「正義」のみを見てそれに自己同一化すると、わたしたちはその事実が見えなくなる。そうして、個も、集団も、無自覚に分離を繰り返す。
自分の外側に見ていることはすべて自分の中に起きていることだ。誰かや何かに対して「正義」の思いが生じたなら、同時に「不正義」もまた自分の中にある。だから、まず取り組むべきは、そうした自分の中の無自覚な分離を認識して統合することであり、外側に向かって「正義を振りかざす」暇などない。