昨日も一昨日もその前の日も外の気配が妙に濃密だった。
わたしは現在の家の寝室の窓が好きで、カーテンもブラインドもつけていない。ベッドに寝ころんだまま空を流れる雲を眺めるのは楽しいし、夜には星がよく見える。一昨日の深夜、この窓の外を何かがふっと過っていくのが見えた気がした。それも二回。煙突の煙だったかもしれないし、他の何かだったのかもしれない。
ここ数日ほどトゥバンのことをよく思っている。ドゥーベ、フェクダの名をふと思い出すことも続いた。寝室の窓は北に向いていて、竜座も北斗七星もよく見える。
わたしには、夜空に星が出ているとまず北極星を見つけ出す癖がある。子どもの頃に覚えた「北極星の見つけ方」がすっかり身についている。そうして、北極星を元にして他の星や星座を確認していくのだ。
現在の北極星はポラリスだが、紀元前3000年頃はトゥバンが北極星だった。ギザの大ピラミッドにある王の間と女王の間にはシャフトと呼ばれる孔が設けられていて、王の間から北へ伸びるシャフトはトゥバンに向かっている。