存在すら幻想だったかのように感じられる

存在すら幻想だったかのように感じられる

母が死んでからもうすぐ5ヶ月が経つ。その間に「そういえば彼女はもうこの世界にはいないのだ」と不意に気づくことが数回あったが、最近では、わたしが見ていた彼女はすべて幻想だったような感覚がある。彼女の存在も、彼女との関係も、すべてが今とは別の過去世のようで、彼女の写真を見ても不思議な感じはするけれど、感情は動かない。

今月初旬に再度日本に滞在し、「ここまでは終わらせる」と決めていた死後整理を完結させた後、わたしが実感したのは大きな解放感だった。「無自覚に背負っていた重荷が解消したみたいだ、家族とはわたしにとってある種の呪いだった」とパートナーに話したら「理解する人も多いと思うよ」と言っていた。

彼の母親もまた、わたしの母親と同じように、自己犠牲的で共依存的な関係を繰り返してきた人のようだった。以前、わたしは彼に「わたしの母は物理的な死をもってようやく自らの『おはなし』から逃げ出せたのだと思う」と話したことがある。すると彼は、2年前に死んだ自分の母親に対して同じように感じると言った。

5月から6月にかけて、わたしの夢にはよく母方の祖母が現れた。それよりも前から母は時々わたしの夢に現れた。7月末に母が死んでからは、彼女たちは一度もわたしの夢に現れていない。

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