彼らは自らの影に支配されている

日本に滞在している間も、周囲の人たちの「おはなし」に巻き込まれなくなった。彼らの多くは無自覚なまま「こんなはずではなかったゲーム」を繰り返している。そうして自分自身を殺し、自他を傷め続けている。彼らが「おはなし」を繰り出してきても、わたしの感情はまったく反応しなくなった。

彼らはいつも無自覚に他者に期待している。彼らは他者が自分に共感することを求めている。そうして、他者から感情を吸い取とることで自我を保っている。彼らは自らの影を認めたくないだけだ。そうして自分自身を拒絶しているから、常に外に求め続ける。彼らは無自覚なまま自らの影に支配されている。

認めたくない事実、つまり自分の影を「ある」と認めるだけで、それまで無いものにして殺していた自分が生きてくるし、そうすれば他者に共感を求める必要もなくなるのだが、彼らはそうはせずに、「おはなし」を繰り返すことを自ら選び続けている。それが彼らの選択なのだから、放っておくだけだ。