龍に雨を乞う

ここ数日はまたあまりに暑い日が続いていて、何をするにも負担が大きく、何もできないまま疲労だけが蓄積している。昨日はチェコ国内の12か所の気象観測所で気温が40°Cを超え、171か所で日別最高気温の記録が更新されたそうだ。 今日夕方には雨が降って気温が下がる予報だったが、いつも通り高台にあるこの地域は雨雲が逸れていった。ふと思い出して、以前日本で教わった雨乞いの祝詞の教本を引っ張り出し、おそらく十年以上ぶりに唱えてみたところ、その一時間ほど後に雷雨がやってきた。偶然と言えば偶然。何はともあれ、祝詞をあげるのは気持ちいい。 我が家に神棚は置いていないが、30代の頃に夢に導かれて訪れ、人生の大きな転機となった貴船神社で授かった、木彫りの龍を置いている。待ち望んでいた雨が降って、気温も無事に下がってきたので、改めてその神龍に「ありがとうございます」と伝えた。…

ストックホルムで味わった安堵と共振

今回のストックホルムへの旅は、夢のようだったと同時に、自分がどのような意識と“位置”で生きていくかを確認するような、示唆に富んだ時間だった。 元々、特に惹かれる19世紀末から20世紀初頭のスウェーデンの画家たちの足跡を追って出かけた旅だった。 到着早々、そのうちの一人であるネルケ公爵エウヒェン王子(Prins Eugen)が若き日にアトリエを構えていた建物の前を偶然通りがかった。数日後には彼の邸宅跡であるヴァルデマーシュウッデ(Waldemarsudde)を訪れ、彼が長年暮らし、作品を生み出し続けたその場所で、光と色を堪能し、その精神に触れた。もう一つの目的だったティールスカ・ギャレリエ(Thielska Galleriet)もまた、私にとっては宝箱のような空間で、大好きな画家たちの作品に囲まれる至福のときを過ごした。 私は、現在この地上で肉体をもって生きている存在よりも、既に他界してしまった魂たちに深い共振を覚え、励まされることが多い。今回の旅を通じ、エウヒェン王子は確実に私の導き手であり、エウヒェン・ヤンソンもまた目の前に輝く星だと確信した。そして、彼らが生きたストックホルムと…

Thielska Galleriet

今回ストックホルムを訪れたもう一つの大きな目的。それは、ティールスカ・ギャレリエ(Thielska Galleriet)を訪れることだった。 裕福な銀行家であり熱心な美術コレクター/芸術支援者でもあったエルネスト・ティール氏(Ernest Thiel, 1859-1947)の元邸宅。ここは、19世紀後半~20世紀初頭の北欧美術の宝庫で、例えばあのエドヴァルド・ムンクの作品に関しても、彼の母国ノルウェー以外では世界最大のコレクションを所蔵している。 ユールゴーデン島(Djurgården)の東の尖端にひっそりと佇むこの美術館は、私の大好きな画家たちの作品に溢れた、まるで夢のように美しい場所だった。窓から差し込む優しい光と、壁一面に飾られた数々の名画たち。瀟洒な建物と、緑豊かな庭に満ちる心地よい静寂。窓の向こうには、広い空と海に浮かぶ島々が広がっている。そんな素晴らしい環境の中で、静かに作品と向き合い、言葉では表しきれないほどの至福を味わった。 0:00 /0:17 1×…

Eugène Janssonについて

エウヒェン・ヤンソン(Eugène Jansson, 1862–1915)は、19世紀末から20世紀初頭のスウェーデンを代表する画家の一人だ。 彼は14歳の時に猩紅熱に罹患し、その後一生涯、視力や聴力の低下、慢性腎臓病などの後遺症を抱えることになった。また、若くして父親を亡くし、一家の家計を支える重責を負うこととなる。当時、北欧の画学生たちの多くが芸術の都パリへ留学する中、彼は貧困と病弱さゆえにストックホルムを離れることができなかった。 ヤンソンは、当時ストックホルムの中では貧しい地域の一つだったセーデルマルム地区(Södermalm)に暮らし、その高台から見下ろす夕暮れや夜明け前の風景を深い青のグラデーションで描き続けた。そうしてやがて彼は「青の画家(Blåmålaren)」と呼ばれるようになる。 1886年、保守的で古い体制だったスウェーデン王立美術アカデミーに対抗し、若い改革派の芸術家たちが反対運動を起こし、「Konstnärsförbundet」という芸術家協会を設立した。ヤンソンも創立メンバーであり、さらには運営委員も務めた。同じく協会の創立メンバーであり、ヤンソンの親…

Eugène Janssonを追って

今日は、エウヒェン・ヤンソン(Eugène Jansson, 1862-1915)が暮らしていたアパートがあるセーデルマルム(Södermalm)に出向いて、彼が繰り返し眺め、描いた、リッダーフィヤルデン(Riddarfjärden)越しの風景をこの目で見てきた。 そして、その足でフェリーとバスを乗り継ぎ、ティールスカ・ギャレリエ(Thielska Galleriet)へ。この美術館は、彼の作品を国内最大規模で所蔵している。エウヒェン・ヤンソンは、夕暮れや夜明け前のストックホルムの風景を青のグラデーションで描いた「青の時代」の作品群で知られ、「青の画家(blåmålaren)」とも呼ばれる。ついさっき目の当たりにしたリッダーフィヤルデン越しの眺めを描いた作品を前に、彼と同じ場所に身を置いた実感をしみじみと味わった。…